第三者行為災害・支給制限・費用徴収・審査請求と時効

求償と控除、故意と重大な過失の書き分け、成立届未提出の費用徴収、審査請求前置、そして2年・5年の時効。労災保険法の総仕上げです。

編集・検証: 社労士スタディ編集部 公式情報: 全国社会保険労務士会連合会 試験センター 制作・検証方針

労災保険法の締めくくりに、周辺だが必ず出る4つの論点をまとめて処理します。第三者行為災害、支給制限と費用徴収、審査請求、そして時効です。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

通勤中に自動車にはねられた。
加害者には損害賠償責任がある。
でも労災保険も給付される。
二重取りになってしまうかしら?

戸倉 ジャスミン(あせる) 戸倉 ジャスミン

え、ラッキー……とか言っちゃダメなやつだよね?

深見 つむぎ(退屈) 深見 つむぎ

……ジャスミンさん。
当然、調整規定があるはずです。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

つむぎさんの言うとおり。
これが第三者行為災害。
調整の方法は2つ。
政府が先に保険給付をしたときは、その価額の限度で、受給権者が第三者に対して持つ損害賠償請求権を政府が取得する。
これが求償。
逆に受給権者が先に第三者から損害賠償を受けたときは、その価額の限度で政府は保険給付をしないことができる。
これが控除。
求償と控除、セットで覚えて。

雪村 ましろ(普段) 雪村 ましろ

……先に払った国が、加害者に請求しにいくんだね。

深見 つむぎ(普段) 深見 つむぎ

次に支給制限について。
労働者側に問題がある場合ですね。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

2段階あるわ。
労働者が故意に負傷等またはその直接の原因となった事故を生じさせたときは、保険給付を行わない。
これは絶対的な不支給。
一方、故意の犯罪行為または重大な過失によって生じさせたときは、全部または一部を行わないことが「できる」。
こちらは裁量。

深見 つむぎ(普段) 深見 つむぎ

「行わない」と「行わないことができる」。
条文の語尾が決定的に違うんですね。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

そこに気づけば大丈夫。
さらに事業主側の問題として費用徴収がある。
保険関係成立届を出していない期間中の事故について、故意なら給付額の100%、重大な過失なら40%を事業主から徴収します。

戸倉 ジャスミン(びっくり) 戸倉 ジャスミン

マジで!? 届出さぼってたら、全額請求されるんだ……。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

さて、給付の決定に納得できない場合。審査請求よ。
まず労働者災害補償保険審査官へ。
処分があったことを知った日の翌日から3か月以内。
その決定に不服なら労働保険審査会へ再審査請求です。

深見 つむぎ(普段) 深見 つむぎ

処分の取消しの訴えは、審査請求の決定を経た後でなければ提起できない、という審査請求前置ですね。
再審査請求まで経る必要はない、と。

香月 リサ 先生(笑顔) 香月 リサ 先生

正確ね。
最後に時効。
障害と遺族が5年、それ以外は原則2年。
傷病(補償)等年金は政府の職権だから、そもそも時効の問題が生じません。

雪村 ましろ(普段) 雪村 ましろ

重たい給付ほど長い、って覚えておこうっと。

確認クイズ

労災保険法の支給制限・不服申立て・時効に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 障害(補償)等給付および遺族(補償)等給付を受ける権利の消滅時効は2年である。
  2. 療養(補償)等給付・休業(補償)等給付・葬祭料(葬祭給付)・介護(補償)等給付を受ける権利の消滅時効は2年、障害(補償)等給付・遺族(補償)等給付は5年である。
  3. 保険給付に関する決定に不服がある者は、審査請求を経ることなく、直ちに労働保険審査会に再審査請求をしなければならない。
  4. 労働者が故意に負傷を生じさせた場合であっても、保険給付の全部または一部を行わないことができるにとどまる。
こたえを見る

正解: 2. 療養(補償)等給付・休業(補償)等給付・葬祭料(葬祭給付)・介護(補償)等給付を受ける権利の消滅時効は2年、障害(補償)等給付・遺族(補償)等給付は5年である。

正解は選択肢2。時効は原則2年、障害・遺族のみ5年です。選択肢1は誤りで、障害・遺族は5年。選択肢3も誤りで、まず労働者災害補償保険審査官に審査請求を行い、その決定に不服がある場合に労働保険審査会へ再審査請求します。選択肢4も誤りで、「故意」の場合は保険給付を「行わない」(絶対的不支給)であり、「行わないことができる」(裁量)とされるのは故意の犯罪行為または重大な過失の場合です。

香月リサ先生、深見つむぎ、雪村ましろ、戸倉ジャスミンが海辺でビーチボールを楽しむ様子

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