通勤災害の認定 — 通勤の定義と逸脱・中断の例外

合理的な経路・方法とは。寄り道したら通勤は終わりなのか。日常生活上必要な行為の例外とささいな行為の線引きを、最頻出論点として押さえます。

編集・検証: 社労士スタディ編集部 公式情報: 全国社会保険労務士会連合会 試験センター 制作・検証方針

通勤中のケガも労災の対象。ただし「通勤」の定義は法律で厳密に決まっており、寄り道(逸脱・中断)のルールが最頻出論点です。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

今日は通勤災害。
まず法律上の「通勤」の定義から。
就業に関し、①住居と就業の場所との間の往復、②就業の場所から他の就業の場所への移動、③単身赴任先の住居と帰省先の住居との間の移動を、合理的な経路及び方法により行うことをいいます。
ただし業務の性質を有するものは除きます。

深見 つむぎ(普段) 深見 つむぎ

「業務の性質を有するもの」を除くのは、それが通勤災害ではなく業務災害になるから、という理解でよいですか。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

そう。
例えば事業主の提供する専用通勤バスでの移動は、業務災害の側で扱われます。

戸倉 ジャスミン(笑い) 戸倉 ジャスミン

よっしゃ、定義は分かった! じゃあ帰りにコンビニ寄って、そこで転んだら?

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

そこが本丸。
通勤経路をそれることを逸脱、通勤と関係のない行為をすることを中断といいます。
逸脱・中断の間は、当然に通勤ではありません。

深見 つむぎ(普段) 深見 つむぎ

でも先生、それだと日常生活が成り立ちません。
夕飯の買い物すら許されないというのは、制度として不合理だと思います。

香月 リサ 先生(笑顔) 香月 リサ 先生

だから例外があるの。日常生活上必要な行為であって、やむを得ない事由により行うための最小限度のものであれば、逸脱・中断の間を除き、合理的な経路に復した後は再び通勤となります。

雪村 ましろ(びっくり) 雪村 ましろ

……つまり、寄り道してる最中はダメだけど、道に戻ったらまた守ってもらえる、ってことなのぉ?

香月 リサ 先生(笑顔) 香月 リサ 先生

ましろさん、その言い方が一番わかりやすいわね。
そのとおりよ。

深見 つむぎ(普段) 深見 つむぎ

日常生活上必要な行為の中身は、日用品の購入、職業訓練・教育訓練、選挙権の行使、病院での診察・治療、そして要介護状態の家族の介護……でしたね。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

介護は、継続的にまたは反復して行われるものに限られる点まで押さえて。
それから、ごく短時間のささいな行為は、そもそも逸脱・中断に当たりません。

経路上の店で新聞を買う、トイレを使う、公衆電話を使う。
この程度なら通勤は途切れないわ。

雪村 ましろ(びっくり) 雪村 ましろ

ふぇぇ〜、線引きが細かい……。
あ、でも通勤の場合って、給付の名前が違うんだよね?

香月 リサ 先生(笑顔) 香月 リサ 先生

よく覚えていたわね。
通勤災害の給付には「補償」の字が入りません。
療養給付、休業給付、というように。
さらに療養給付には一部負担金として原則200円が課され、休業給付から差し引かれます。

確認クイズ

通勤の途中における逸脱・中断に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 逸脱または中断があった場合、その後合理的な経路に復しても、二度と通勤とはならない。
  2. 経路上の店で夕食の材料を購入する行為は逸脱・中断に当たらないため、購入している間も通勤である。
  3. 日常生活上必要な行為をやむを得ない事由により最小限度の範囲で行う場合、逸脱・中断の間を除き、合理的な経路に復した後は再び通勤となる。
  4. 通勤の途中で経路上の公衆トイレを使用する行為は中断に当たるため、それ以後は通勤とならない。
こたえを見る

正解: 3. 日常生活上必要な行為をやむを得ない事由により最小限度の範囲で行う場合、逸脱・中断の間を除き、合理的な経路に復した後は再び通勤となる。

正解は選択肢3。日常生活上必要な行為をやむを得ない事由により最小限度の範囲で行う場合、逸脱・中断の「間」は通勤ではありませんが、合理的な経路に復した後は再び通勤となります。選択肢1は例外を無視しており誤り。選択肢2は誤りで、日用品の購入は逸脱・中断に当たり、購入している間は通勤ではありません(復路後に通勤に戻る)。選択肢4も誤りで、トイレの使用はささいな行為であり、そもそも逸脱・中断に当たりません。

深見つむぎ、雪村ましろが音楽室でセッションを楽しむ様子

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