労災保険法の目的と適用事業・労働者/労基法の災害補償との関係

業務上・複数業務要因・通勤の三本柱。労働者1人でも強制適用、保険料は事業主全額負担。労災保険法の入口を、労基法の災害補償との関係から固めます。

編集・検証: 社労士スタディ編集部 公式情報: 全国社会保険労務士会連合会 試験センター 制作・検証方針

労災保険は「誰のために」「どんな災害に」備える制度なのか。第1条の目的規定から、適用事業・労働者の範囲、そして労働基準法の災害補償との関係までを一気に整理します。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

今日から労災保険法に入ります。
まずは第1条。
労災保険は、業務上の事由、複数事業労働者の二以上の事業の業務を要因とする事由、そして通勤による労働者の負傷・疾病・障害・死亡等に対して、迅速かつ公正な保護をするために必要な保険給付を行う制度です。

戸倉 ジャスミン(びっくり) 戸倉 ジャスミン

業務中と、通勤中と……あと掛け持ちで働いてる人のぶんもあるんだ。
三本柱ってこと?

香月 リサ 先生(笑顔) 香月 リサ 先生

そう、そこが柱ね。
それに加えて、社会復帰促進等事業も行う。
給付だけでなく、義肢の支給や特別支給金、労災病院の運営まで含む幅の広い制度です。

深見 つむぎ(普段) 深見 つむぎ

先生、複数業務要因災害というのは、一つの会社だけでは労災と認められない負荷を、複数の会社ぶん合わせて評価する、という理解で合っていますか。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

その理解でいいわ。
単独の事業だけを見れば業務災害と言えない場合でも、二以上の事業の負荷を総合して判断する。
脳・心臓疾患や精神障害が典型ね。

雪村 ましろ(普段) 雪村 ましろ

ましろのお家、和菓子屋さんだけど……お店で働く人が一人でも、労災保険って入るのかな?

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

入ります。
労災保険の適用事業は、労働者を使用する事業。
パートでもアルバイトでも日雇いでも、一人でも使えば強制適用です。
国籍も在留資格も問いません。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

例外もあります。
国の直営事業と官公署の事業は適用除外。
それから、農林水産の一部の小規模な事業は暫定任意適用事業として、加入するかどうかを選べます。

戸倉 ジャスミン(普段) 戸倉 ジャスミン

保険料は誰が払うの? バイト代から引かれるやつ?

香月 リサ 先生(笑顔) 香月 リサ 先生

労災保険の保険料は事業主が全額負担。
労働者の負担はゼロよ。
ここは健康保険や厚生年金と決定的に違うところ。

深見 つむぎ(普段) 深見 つむぎ

……その理由は、労働基準法にあるんじゃないですか。
もともと使用者が災害補償の責任を負っているから、その責任を保険化したもの、ということですよね。

香月 リサ 先生(笑顔) 香月 リサ 先生

見事。
労基法は使用者に災害補償の無過失責任を課している。
そして労災保険法の給付が行われるべき場合には、使用者はその補償責任を免れる。
保険が肩代わりする構造なの。

雪村 ましろ(普段) 雪村 ましろ

……会社が潰れちゃっても、働いてた人はちゃんと守られるってことだよね。
それ、すごく大事なことだと思う。

確認クイズ

労災保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 労災保険は、労働者を常時5人以上使用する事業でなければ適用されない。
  2. 労災保険の保険料は、労働者と事業主が折半して負担する。
  3. 労災保険法に基づく保険給付が行われるべき場合には、使用者は労働基準法上の災害補償の責任を免れる。
  4. 労災保険は、日本国籍を有する労働者にのみ適用される。
こたえを見る

正解: 3. 労災保険法に基づく保険給付が行われるべき場合には、使用者は労働基準法上の災害補償の責任を免れる。

正解は選択肢3。労基法84条1項により、労災保険の給付が行われるべき場合、使用者は労基法上の災害補償責任を免れます。選択肢1は誤りで、労働者を1人でも使用すれば強制適用(一部の農林水産業は暫定任意適用)。選択肢2も誤りで、労災保険料は事業主が全額負担します。選択肢4も誤りで、国籍・在留資格を問わず適用されます。

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