労災給付の第一歩は治療。療養(補償)等給付には「療養の給付」と「療養の費用の支給」の2つがあり、どちらが原則かが問われます。
先生、質問があります。
労災でケガをした場合、健康保険証を出して3割負担で治療を受けるのですか。
いいえ、そこは絶対に混ぜてはいけないところ。
業務災害・通勤災害には健康保険は使えません。
労災保険の療養(補償)等給付で治療を受けます。
えっ、じゃあ治療費どうなるの? 立て替えるの?
原則は療養の給付。
労災病院や労災保険の指定医療機関で、現物給付として治療そのものを受けます。
窓口での自己負担はありません。
現物給付……お金じゃなくて、治療そのものをもらうってことなんだね。
そう。
ここが原則。
ただ、近くに指定医療機関がない場合もあるでしょう?
あー、田舎とか、夜中に運ばれたとかだと選べないもんね。
そういうときのために療養の費用の支給がある。
療養の給付をすることが困難な場合、または療養の給付を受けないことについて労働者に相当の理由がある場合に、現金で支給されます。
つまり療養の費用の支給は例外的・補充的な位置づけで、労働者が好きに選べるものではない、ということですね。
「希望すればいつでも費用の支給を選べる」は誤り、と。
療養って、どこまでしてもらえるのかな。
お薬とか、入院とか。
期間の制限はあるの?
診察、薬剤・治療材料、処置・手術、居宅での療養上の管理と世話、入院、移送まで、政府が必要と認めるものが範囲。
そして期間の制限はないの。
療養(補償)等給付は傷病が治ゆするまで続きます。
ここでいう「治ゆ」は完治ではなく、症状が固定してこれ以上治療効果が期待できない状態=症状固定を含む点に注意して。
治ってなくても「治ゆ」って言うの!? 言葉のワナじゃん……。
そう感じるくらいでちょうどいいわ。
この「治ゆ=症状固定」が、次の障害(補償)等給付への入口になるのだから。
確認クイズ
療養(補償)等給付に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 労働者が希望すれば、いつでも療養の給付に代えて療養の費用の支給を受けることができる。
- 療養の費用の支給は、療養の給付をすることが困難な場合、または療養の給付を受けないことについて労働者に相当の理由がある場合に行われる。
- 療養(補償)等給付は、療養の開始後3年を限度として行われる。
- 通勤災害による療養給付には一部負担金がなく、費用の全額が支給される。
こたえを見る
正解: 2. 療養の費用の支給は、療養の給付をすることが困難な場合、または療養の給付を受けないことについて労働者に相当の理由がある場合に行われる。
正解は選択肢2。療養の費用の支給は、療養の給付が困難な場合等に行われる補充的なもので、労働者が自由に選択できるものではありません(選択肢1は誤り)。選択肢3も誤りで、療養(補償)等給付に期間の制限はなく、傷病が治ゆ(症状固定)するまで継続します。選択肢4も誤りで、通勤災害の療養給付には原則200円の一部負担金があります。