業務災害の認定 — 業務遂行性と業務起因性

事業主の支配下にあったか(業務遂行性)、業務と傷病に相当因果関係があるか(業務起因性)。休憩中・出張中・業務上の疾病まで、判断のものさしを固めます。

編集・検証: 社労士スタディ編集部 公式情報: 全国社会保険労務士会連合会 試験センター 制作・検証方針

労災と認められるかどうかの分かれ目が「業務災害の認定」です。業務遂行性と業務起因性という2つのものさしを、具体的な場面で使えるようにします。

戸倉 ジャスミン(普段) 戸倉 ジャスミン

先生! 質問! 会社の廊下で滑って転んだら労災? 昼休みにコンビニ行って転んだら?

香月 リサ 先生(笑顔) 香月 リサ 先生

いい入り方ね。
業務災害の判断は、必ず2段階。
まず業務遂行性、次に業務起因性です。

深見 つむぎ(普段) 深見 つむぎ

業務遂行性は「事業主の支配下・管理下にあること」、業務起因性は「業務と傷病との間に相当因果関係があること」ですね。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

そのとおり。
順番が大事よ。
業務遂行性は前提条件。
そこがなければ、業務起因性の議論に進まない。

雪村 ましろ(普段) 雪村 ましろ

……お鍋を火にかけないと、お湯は沸かないみたいな?

香月 リサ 先生(笑顔) 香月 リサ 先生

うん、まさにその関係。
火にかける=支配下に置く、お湯が沸く=業務から生じた、ね。

戸倉 ジャスミン(普段) 戸倉 ジャスミン

じゃあさっきの廊下。
会社の中で働いてる最中だから、両方オッケー?

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

作業中の施設内の災害は、原則として両方認められます。
では昼休みは?

深見 つむぎ(普段) 深見 つむぎ

休憩時間中は事業主の支配下にはあるけれど、行為そのものは私的行為なので、業務起因性が否定される……のではないですか。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

そこが重要な引っかけ。
休憩時間中の私的行為による災害は業務外。
でも、事業場の施設の欠陥や管理上の不備が原因なら、私的行為の最中でも業務上と扱われるわ。

雪村 ましろ(笑顔) 雪村 ましろ

会社の建物のせいなら会社が責任持つ、ってことだよね。
分かりやすいかも。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

その感覚でいいわ。
もう一つ、出張。
出張中は全行程が事業主の支配下と評価されるから、積極的な私的行為による災害を除いて、原則として業務上です。

深見 つむぎ(普段) 深見 つむぎ

それから業務上の疾病。
これは労働基準法施行規則の別表に列挙されているものですね。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

そう。
災害性の疾病だけでなく、粉じん、化学物質、長時間労働による脳・心臓疾患、心理的負荷による精神障害まで、幅広く列挙されています。
ここは絶対に落とせないところよ。

確認クイズ

業務災害の認定に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 業務起因性が認められれば、業務遂行性がなくても業務災害となる。
  2. 業務遂行性とは、労働者が労働契約に基づき事業主の支配下にある状態をいい、業務災害と認められるための前提となる。
  3. 出張中の災害は、事業場を離れているため一切業務災害とはならない。
  4. 事業場施設内で休憩時間中に発生した災害は、施設の欠陥に起因するものであっても常に業務外である。
こたえを見る

正解: 2. 業務遂行性とは、労働者が労働契約に基づき事業主の支配下にある状態をいい、業務災害と認められるための前提となる。

正解は選択肢2。業務遂行性は業務災害の第一の前提であり、その上で業務起因性(相当因果関係)が問われます。選択肢1は順序が逆で誤り。選択肢3も誤りで、出張中は全般的に事業主の支配下にあると評価され、積極的な私的行為を除き原則として業務上です。選択肢4も誤りで、施設の欠陥や管理上の不備が原因の場合は、休憩時間中であっても業務上と扱われます。

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