労災と認められるかどうかの分かれ目が「業務災害の認定」です。業務遂行性と業務起因性という2つのものさしを、具体的な場面で使えるようにします。
先生! 質問! 会社の廊下で滑って転んだら労災? 昼休みにコンビニ行って転んだら?
いい入り方ね。
業務災害の判断は、必ず2段階。
まず業務遂行性、次に業務起因性です。
業務遂行性は「事業主の支配下・管理下にあること」、業務起因性は「業務と傷病との間に相当因果関係があること」ですね。
そのとおり。
順番が大事よ。
業務遂行性は前提条件。
そこがなければ、業務起因性の議論に進まない。
……お鍋を火にかけないと、お湯は沸かないみたいな?
うん、まさにその関係。
火にかける=支配下に置く、お湯が沸く=業務から生じた、ね。
じゃあさっきの廊下。
会社の中で働いてる最中だから、両方オッケー?
作業中の施設内の災害は、原則として両方認められます。
では昼休みは?
休憩時間中は事業主の支配下にはあるけれど、行為そのものは私的行為なので、業務起因性が否定される……のではないですか。
そこが重要な引っかけ。
休憩時間中の私的行為による災害は業務外。
でも、事業場の施設の欠陥や管理上の不備が原因なら、私的行為の最中でも業務上と扱われるわ。
会社の建物のせいなら会社が責任持つ、ってことだよね。
分かりやすいかも。
その感覚でいいわ。
もう一つ、出張。
出張中は全行程が事業主の支配下と評価されるから、積極的な私的行為による災害を除いて、原則として業務上です。
それから業務上の疾病。
これは労働基準法施行規則の別表に列挙されているものですね。
そう。
災害性の疾病だけでなく、粉じん、化学物質、長時間労働による脳・心臓疾患、心理的負荷による精神障害まで、幅広く列挙されています。
ここは絶対に落とせないところよ。
確認クイズ
業務災害の認定に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 業務起因性が認められれば、業務遂行性がなくても業務災害となる。
- 業務遂行性とは、労働者が労働契約に基づき事業主の支配下にある状態をいい、業務災害と認められるための前提となる。
- 出張中の災害は、事業場を離れているため一切業務災害とはならない。
- 事業場施設内で休憩時間中に発生した災害は、施設の欠陥に起因するものであっても常に業務外である。
こたえを見る
正解: 2. 業務遂行性とは、労働者が労働契約に基づき事業主の支配下にある状態をいい、業務災害と認められるための前提となる。
正解は選択肢2。業務遂行性は業務災害の第一の前提であり、その上で業務起因性(相当因果関係)が問われます。選択肢1は順序が逆で誤り。選択肢3も誤りで、出張中は全般的に事業主の支配下にあると評価され、積極的な私的行為を除き原則として業務上です。選択肢4も誤りで、施設の欠陥や管理上の不備が原因の場合は、休憩時間中であっても業務上と扱われます。