家族の医療費はどう給付されるのか。そして療養の給付から切り出された食事・生活療養の位置づけを確認します。
先生、家族が病院に行くときも、窓口で3割払うよね。
あれって、何ていう給付なの?
家族療養費よ。
被扶養者が保険医療機関で療養を受けたとき、被保険者に対して支給される給付ね。
被保険者に対して支給される——被扶養者本人に対してではない。
ここは条文上の建て付けとして重要ですね。
そのとおり。
ただし実際には現物給付化されていて、窓口では自己負担分だけ払えばいい。
だから利用者は給付を受けている実感がないの。
割合は本人と同じ?
原則7割給付、つまり自己負担3割で同じ。
ただし年齢による違いがあるわ。
義務教育就学前は8割給付で自己負担2割。
70歳以上75歳未満も8割給付だけれど、現役並み所得者は7割よ。
被保険者本人の一部負担金と同じ構造ですね。
……給付割合で言うか、負担割合で言うかの違いだけ。
いい着眼点。
問題文が「給付割合」で聞いてくるか「負担割合」で聞いてくるかで混乱しやすいから、両方で言えるようにしておいて。
では入院の話へ。
前に触れたとおり、入院中の食事は療養の給付に含まれない。入院時食事療養費という別の給付になるの。
患者は食事療養標準負担額を負担して、残りが入院時食事療養費として給付される。
標準負担額は厚生労働大臣が定めていて、低所得者には軽減措置があるわ。
では入院時生活療養費は何が違うのですか。
名前が似ていますが。
対象者が違うの。
療養病床に入院する65歳以上の被保険者が対象よ。
給付の中身は食事だけでなく、温度・照明・給水といった療養環境——つまり生活そのものにかかる部分も含む。
え、光熱費まで自己負担なの? ちょっと厳しくない?
……自宅で暮らしていれば、当然かかる費用ですから。
介護保険施設の入所者との公平を図る趣旨だと思います。
そう。
その公平の発想が、この給付を切り出した理由。
丸暗記ではなく、この理屈で押さえて。
確認クイズ
家族療養費・入院時食事療養費・入院時生活療養費に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 家族療養費は、被扶養者本人に対して支給される。
- 入院時生活療養費は、療養病床に入院する65歳以上の被保険者について支給される。
- 義務教育就学前の被扶養者に係る家族療養費の給付割合は、7割である。
- 入院時食事療養費が支給される場合、患者は食事に係る費用を負担しない。
こたえを見る
正解: 2. 入院時生活療養費は、療養病床に入院する65歳以上の被保険者について支給される。
正しいのは選択肢2。入院時生活療養費は療養病床に入院する65歳以上の被保険者(特定長期入院被保険者)を対象とする。選択肢1は誤りで、家族療養費は被保険者に対して支給される。選択肢3は誤りで、義務教育就学前の給付割合は8割(自己負担2割)。選択肢4も誤りで、患者は食事療養標準負担額を負担する。