健康保険の給付は種類が多く、丸暗記では崩れます。現物給付か現金給付か、本人向けか家族向けか、という2軸で地図を描きます。
先生……健康保険の給付、教科書に十何個も並んでて、もう名前が呪文にしか見えないんだけど。
焦らなくていいわ。
一覧を丸暗記しようとするから溺れるの。
2本の軸を引けば、地図になるから。
2本の軸、というと。
1本目は現物給付か現金給付か。
2本目は、被保険者本人に対する給付か、被扶養者に関する給付か。
現物給付って……お薬とか、診察そのものをもらう、ってこと?
そのとおり。
療養の給付が代表格ね。
窓口で一部負担金だけ払えば、診察も薬もその場で受け取れる。
お金ではなく医療そのものが給付されているの。
対して現金給付は、後からお金が支払われるもの。傷病手当金、出産手当金、出産育児一時金、埋葬料、療養費、移送費、高額療養費などがここ。
先生、療養費が現金給付側にあるのが気になります。
名前は療養の給付に似ていますが。
いい着眼点。
療養費は、保険医療機関で現物給付を受けられなかったときの償還払いなの。
だから現金。
名前が似ているぶん、区別が問われるわ。
……家族の分は、名前が変わるんだよね。
「家族」がつく。
そう。家族療養費、家族訪問看護療養費、家族移送費、家族埋葬料、家族出産育児一時金。
この5つが被扶養者に関する給付よ。
ここで重大な非対称がひとつ。
「家族傷病手当金」と「家族出産手当金」は存在しないの。
えーっ! なんで? 奥さんが働けなくなったら困るじゃん?
……傷病手当金と出産手当金は、被保険者本人の賃金の喪失を補うための給付だからでは。
被扶養者にはそもそも補うべき賃金がない、という建て付けだと思います。
見事な説明ね。
所得保障という性格から演繹できる。
この2つが家族に存在しない理由は、そのまま論述の骨になるわ。
確認クイズ
健康保険の保険給付に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 被扶養者が労務不能となった場合、家族傷病手当金が支給される。
- 療養費は、療養の給付と同様の現物給付である。
- 被扶養者が死亡した場合、被保険者に対して家族埋葬料が支給される。
- 被扶養者が出産した場合、被保険者に対して家族出産手当金が支給される。
こたえを見る
正解: 3. 被扶養者が死亡した場合、被保険者に対して家族埋葬料が支給される。
正しいのは選択肢3。被扶養者の死亡については家族埋葬料が被保険者に支給される。選択肢1・4は誤りで、「家族傷病手当金」「家族出産手当金」という給付は存在しない(いずれも被保険者本人の賃金喪失を補う所得保障のため)。選択肢2も誤りで、療養費は償還払いの現金給付である。