労災給付の金額はすべて「給付基礎日額」から計算されます。その決め方、物価・賃金への追随(スライド制)、そして年齢階層別限度額を整理します。
先生、ここまで何度も出てきた給付基礎日額ですが、そもそもどう計算するのですか。
給付基礎日額は、原則として労働基準法12条の平均賃金に相当する額です。
算定事由が発生した日以前3か月間に支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で割る。
総日数、つまり暦日数で割るので、休日も分母に入りますね。
日給制だと低くなりそうですが……。
だから最低保障の規定があるの。
労基法12条の最低保障額と同じ考え方ね。
それでもなお低い場合に備えて、労災保険法独自の最低限度額も設けられています。
……ボーナスは入るのかな。
夏と冬にもらうやつ。
入りません。
3か月を超える期間ごとに支払われる賞与は平均賃金の算定基礎から除かれるので、給付基礎日額にも入らない。
そこを補うのが特別支給金。
賞与などをもとにした「算定基礎日額」を使って、休業特別支給金とは別に障害特別年金や遺族特別年金などが支給されます。
保険給付では拾わないボーナス分を、社会復帰促進等事業の側で拾う。
役割分担ですね。
そういうこと。
さて次はスライド制。
事故から何年も経つと世の中の賃金水準は変わる。
だから改定するの。
休業給付基礎日額は四半期ごとに、賃金水準が算定事由発生日の属する四半期に比べて110%を超えるか90%を下回るに至った場合に、翌々四半期からスライドします。
年金のほうは? 何十年ももらう人もいるよね。
年金給付基礎日額は完全自動賃金スライド。
算定事由発生日の属する年度の翌々年度の8月以降、毎年度改定されます。
さらに年齢階層別の最低・最高限度額が適用される。
年齢階層別限度額は、年金給付基礎日額には常に適用。
休業給付基礎日額には療養開始後1年6か月を経過した日以後から適用、ですね。
確認クイズ
給付基礎日額に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 給付基礎日額は、原則として労働基準法12条の平均賃金に相当する額である。
- 3か月を超える期間ごとに支払われる賞与は、給付基礎日額の算定に含まれる。
- 年齢階層別の最低・最高限度額は、すべての保険給付に一律に適用される。
- 休業給付基礎日額のスライドは、賃金水準が5%を超えて変動した場合に行われる。
こたえを見る
正解: 1. 給付基礎日額は、原則として労働基準法12条の平均賃金に相当する額である。
正解は選択肢1。給付基礎日額は原則として労基法12条の平均賃金に相当する額です。選択肢2は誤りで、3か月を超える期間ごとに支払われる賞与は含まれず、特別支給金(算定基礎日額)の側で反映されます。選択肢3も誤りで、年齢階層別限度額は年金給付基礎日額には常に適用されますが、休業給付基礎日額には療養開始後1年6か月を経過した日以後から適用されます。選択肢4も誤りで、スライドの発動基準は110%を超えるか90%を下回るに至った場合です。