労働者が亡くなったときの給付です。受給資格者・受給権者・転給という3つの言葉を区別できるかどうかが、この論点の勝負どころです。
遺族(補償)等給付には年金と一時金があります。
まず年金から。
ここで区別してほしい言葉が2つ。
受給資格者と受給権者です。
受給資格者は「資格を持っている人」、受給権者は「実際に受け取る権利がある人」。
資格者のうち最先順位の者が権者、ということですか。
そのとおり。
順位は、配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹の順。
全員が受給資格者になれるわけではなく、生計維持要件と、年齢または障害の要件を満たす必要があります。
年齢の要件? 家族なら誰でもいいんじゃないの?
いいえ。
子と孫は18歳到達年度の末日まで、または一定の障害の状態にあること。
父母・祖父母は60歳以上または一定障害。
兄弟姉妹は18歳到達年度末まで、60歳以上、または一定障害です。
夫は60歳以上または一定障害。
……妻は?
妻には年齢要件も障害要件もありません。
生計維持関係さえあれば受給資格者です。
……妻だけ要件がないの? それって、なんだか時代を感じる決まりだね。
ましろさんの感覚は正しいわ。
試験では「妻に年齢要件はない」がそのまま問われます。
ちょっと待って。
55歳のお父さんは? 60歳未満だからダメ?
そこに若年停止という仕組みがあるの。
55歳以上60歳未満の夫・父母・祖父母・兄弟姉妹は、受給資格者にはなるけれど、60歳になるまで支給が停止されます。
そして労災保険独自の制度が転給。
受給権者が再婚などで失権した場合、権利が次順位の受給資格者に移ります。
公的年金にはない仕組みよ。
えっ、権利が引き継がれるの!? 年金って普通、その人が死んだら終わりじゃないの?
そこが労災の特徴。
だから「転給といえば労災」と覚えて。
年金額は遺族の数に応じて増え、遺族1人なら給付基礎日額の153日分、4人以上で245日分。
受給資格者が一人もいない場合などには、給付基礎日額の1000日分の一時金が支給されます。
残された家族の人数で変わるんだ……ちゃんと生活を見てくれてるんだね。
確認クイズ
遺族(補償)等給付に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 遺族(補償)等年金の受給権者が失権した場合、同順位者がいなければ年金はそこで終了する。
- 労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していた妻は、年齢や障害の要件を問わず受給資格者となる。
- 夫は、労働者の死亡当時の年齢が55歳未満であっても受給資格者となる。
- 遺族(補償)等年金の額は、遺族の数にかかわらず一定である。
こたえを見る
正解: 2. 労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していた妻は、年齢や障害の要件を問わず受給資格者となる。
正解は選択肢2。妻には年齢要件も障害要件もなく、生計維持関係があれば受給資格者となります。選択肢1は誤りで、労災保険には転給の制度があり、受給権者が失権すれば次順位の受給資格者に受給権が移ります。選択肢3も誤りで、夫は60歳以上または一定障害(55歳以上60歳未満は若年停止付きの受給資格者)であることが必要です。選択肢4も誤りで、年金額は遺族の数に応じて増額されます。