療養が長引き、重い状態が続くとき、休業給付から年金へと切り替わります。療養開始後1年6か月という期間と、政府の職権による支給決定がポイントです。
先生……治療がすごく長引いちゃった人は、休業給付をずっともらい続けるのかな。
いい問いね。
一定の重さが続く場合は、傷病(補償)等年金という別の給付に切り替わります。
療養の開始後1年6か月を経過した日、またはその日以後において、①傷病が治っていないこと、②傷病による障害の程度が傷病等級に該当すること。
この2つを両方満たすときです。
1年6か月……ちょっと待って、それ健康保険の傷病手当金と同じ数字じゃない?
鋭い。
健康保険の傷病手当金の支給期間は通算1年6か月。
数字は同じでも意味は違うわ。
労災のこちらは「休業給付から年金へ移る節目」。
混ぜないように。
傷病等級は第1級から第3級までですね。
障害等級の14段階とは別物、と。
そのとおり。
傷病等級は3段階のみ。
年金額は給付基礎日額の第1級313日分、第2級277日分、第3級245日分です。
……これって、自分で請求するの?
ここが最大の特徴。
傷病(補償)等年金は、労働者の請求によらず、政府の職権で支給決定されます。
労働者は「傷病の状態等に関する届」を提出するだけ。
請求によらない……ということは、請求を前提とする時効の問題も生じないわけですね。
そこまで繋がれば完璧。
支給されるようになると休業(補償)等給付は行われなくなるけれど、療養(補償)等給付は続くから治療は受け続けられるわ。
そして労基法との接点。
傷病補償年金を受けることとなり療養開始後3年を経過した日に、使用者は労基法の打切補償を支払ったものとみなされます。
……それはつまり、労基法19条の解雇制限が解除される、ということですか。
そう。
ここは労基法と労災法をまたぐ重要論点。
しっかり結びつけておいて。
確認クイズ
傷病(補償)等年金に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 療養の開始後1年を経過した日において傷病が治っていないときに支給される。
- 療養の開始後1年6か月を経過した日以後において、傷病が治っておらず、かつ障害の程度が傷病等級に該当するときに、政府の職権により支給される。
- 傷病(補償)等年金は、労働者の請求に基づいて支給決定される。
- 傷病(補償)等年金の支給が決定されると、療養(補償)等給付も行われなくなる。
こたえを見る
正解: 2. 療養の開始後1年6か月を経過した日以後において、傷病が治っておらず、かつ障害の程度が傷病等級に該当するときに、政府の職権により支給される。
正解は選択肢2。療養開始後1年6か月経過という期間要件と、傷病等級(第1級〜第3級)該当という状態要件を満たす場合に、政府の職権で支給決定されます。選択肢1は期間が誤り(1年ではなく1年6か月)。選択肢3も誤りで、請求によらず職権で決定されます。選択肢4も誤りで、行われなくなるのは休業(補償)等給付であり、療養(補償)等給付は継続します。