傷病(補償)等年金 — 療養開始後1年6か月と傷病等級

1年6か月を経過して傷病等級第1級〜第3級に該当すれば、請求なしで政府が職権支給。休業給付は止まり療養給付は続く。打切補償みなしで解雇制限も解除されます。

編集・検証: 社労士スタディ編集部 公式情報: 全国社会保険労務士会連合会 試験センター 制作・検証方針

療養が長引き、重い状態が続くとき、休業給付から年金へと切り替わります。療養開始後1年6か月という期間と、政府の職権による支給決定がポイントです。

雪村 ましろ(普段) 雪村 ましろ

先生……治療がすごく長引いちゃった人は、休業給付をずっともらい続けるのかな。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

いい問いね。
一定の重さが続く場合は、傷病(補償)等年金という別の給付に切り替わります。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

療養の開始後1年6か月を経過した日、またはその日以後において、①傷病が治っていないこと、②傷病による障害の程度が傷病等級に該当すること。
この2つを両方満たすときです。

戸倉 ジャスミン(びっくり) 戸倉 ジャスミン

1年6か月……ちょっと待って、それ健康保険の傷病手当金と同じ数字じゃない?

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

鋭い。
健康保険の傷病手当金の支給期間は通算1年6か月。
数字は同じでも意味は違うわ。
労災のこちらは「休業給付から年金へ移る節目」。
混ぜないように。

深見 つむぎ(普段) 深見 つむぎ

傷病等級は第1級から第3級までですね。
障害等級の14段階とは別物、と。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

そのとおり。
傷病等級は3段階のみ。
年金額は給付基礎日額の第1級313日分、第2級277日分、第3級245日分です。

雪村 ましろ(普段) 雪村 ましろ

……これって、自分で請求するの?

香月 リサ 先生(笑顔) 香月 リサ 先生

ここが最大の特徴。
傷病(補償)等年金は、労働者の請求によらず、政府の職権で支給決定されます。
労働者は「傷病の状態等に関する届」を提出するだけ。

深見 つむぎ(普段) 深見 つむぎ

請求によらない……ということは、請求を前提とする時効の問題も生じないわけですね。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

そこまで繋がれば完璧。
支給されるようになると休業(補償)等給付は行われなくなるけれど、療養(補償)等給付は続くから治療は受け続けられるわ。

そして労基法との接点。
傷病補償年金を受けることとなり療養開始後3年を経過した日に、使用者は労基法の打切補償を支払ったものとみなされます。

深見 つむぎ(びっくり) 深見 つむぎ

……それはつまり、労基法19条の解雇制限が解除される、ということですか。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

そう。
ここは労基法と労災法をまたぐ重要論点。
しっかり結びつけておいて。

確認クイズ

傷病(補償)等年金に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 療養の開始後1年を経過した日において傷病が治っていないときに支給される。
  2. 療養の開始後1年6か月を経過した日以後において、傷病が治っておらず、かつ障害の程度が傷病等級に該当するときに、政府の職権により支給される。
  3. 傷病(補償)等年金は、労働者の請求に基づいて支給決定される。
  4. 傷病(補償)等年金の支給が決定されると、療養(補償)等給付も行われなくなる。
こたえを見る

正解: 2. 療養の開始後1年6か月を経過した日以後において、傷病が治っておらず、かつ障害の程度が傷病等級に該当するときに、政府の職権により支給される。

正解は選択肢2。療養開始後1年6か月経過という期間要件と、傷病等級(第1級〜第3級)該当という状態要件を満たす場合に、政府の職権で支給決定されます。選択肢1は期間が誤り(1年ではなく1年6か月)。選択肢3も誤りで、請求によらず職権で決定されます。選択肢4も誤りで、行われなくなるのは休業(補償)等給付であり、療養(補償)等給付は継続します。

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