徴収法の締めくくり。災害を減らした事業主に報いるメリット制、中小事業主を支える労働保険事務組合、そして納めない場合の督促・滞納処分です。
安全対策に本気で取り組んで災害を減らした会社と、何もしない会社が、同じ保険料。
これは公平かしら?
えーっ、それは納得いかない! 頑張った人が損じゃん?
だからメリット制があるの。
事業ごとの災害の多少に応じて、労災保険率または保険料額を増減させる仕組みです。
増減の基準は収支率ですね。
保険給付の額などを保険料の額などで割ったもの。
そう。
継続事業では、その収支率が100分の85を超えるか、100分の75以下である場合に、労災保険率を上下40%(一部の事業は30%)の範囲で増減させます。
災害が少なければ保険料が安くなる、予防へのインセンティブね。
ただし注意。
増減されるのは労災保険率だけ。
雇用保険率には及びません。
有期事業にもメリット制はありますか。
あります。
建設の事業と立木の伐採の事業が対象で、一定規模以上のものについて事業終了後に確定保険料の額を増減させます。
中小企業向けには、安全衛生措置を講じた場合に増減幅を広げる特例メリット制もあるわ。
次は労働保険事務組合。
中小事業主等の委託を受けて労働保険事務を処理する団体で、厚生労働大臣の認可を受けたものです。
委託できる事業主の範囲は、特別加入の中小事業主と同じ人数要件ですね。
金融・保険・不動産・小売業は50人以下、卸売業・サービス業は100人以下、その他は300人以下。
そのとおり。
委託のメリットは3つ。
事業主等が特別加入できること、概算保険料の額を問わず延納できること、納期限が延長されること。
……逆に、事務組合にお願いできないことってあるのかな。
ましろさん、そこが試験のポイント。
印紙保険料に関する事項と、保険給付および特別支給金に関する請求書等の事務は処理できません。
給付の請求は本人が行うのね。
最後に滞納の話。
保険料を納めない事業主には、政府が期限を指定して督促をします。
督促状の指定期限は、督促状を発する日から起算して10日以上経過した日でなければなりません。
それでも納付しない場合は?
国税滞納処分の例により処分されます。
あわせて延滞金も。
原則年14.6%だけれど、納期限の翌日から2か月を経過する日までの期間は軽減されます。
なお労働保険料等を徴収する権利の時効は2年よ。
確認クイズ
メリット制および労働保険事務組合に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- メリット制は、労災保険率だけでなく雇用保険率にも適用される。
- 労働保険事務組合は、印紙保険料に関する事項および保険給付・特別支給金に関する請求書等の事務を処理することができない。
- 督促状に指定する期限は、督促状を発する日から起算して5日以上経過した日でなければならない。
- 労働保険事務組合に労働保険事務を委託しても、概算保険料の延納の要件は変わらない。
こたえを見る
正解: 2. 労働保険事務組合は、印紙保険料に関する事項および保険給付・特別支給金に関する請求書等の事務を処理することができない。
正解は選択肢2。労働保険事務組合は、印紙保険料に関する事項と、保険給付・特別支給金に関する請求書等の事務を処理できません。選択肢1は誤りで、メリット制は労災保険率(保険料額)にのみ適用され、雇用保険率には及びません。選択肢3も誤りで、督促状の指定期限は発する日から起算して10日以上経過した日です。選択肢4も誤りで、事務組合に委託していれば概算保険料の額を問わず延納でき、納期限も延長されます。