徴収法には3つの「一括」があります。名前が似ていて混乱しやすいので、対象・手続・対象保険を表で整理するつもりで読んでください。
先生、今日のテーマ、なんか三つ子みたいな名前が並んでるんだけど……。
有期事業の一括、継続事業の一括、請負事業の一括。
確かにそっくりね。
でも中身はまったく別物。
区別する軸は3つ。
何を一括するか、手続は要るか、どの保険が対象か。
まず請負事業の一括から。
建設の事業が数次の請負によって行われる場合、元請負人のみを事業主とする、というものですね。
そう。
ビル一棟の工事に何十社もの下請が入る。
それぞれに保険関係を成立させていたら大混乱でしょう。
だから元請にまとめる。
……下請の会社で働いてる人も、元請の労災でカバーされるんだね。
安心かも。
そこが制度の狙い。
手続は不要、法律上当然に一括されます。
そして対象は労災保険のみ。
雇用保険には及びません。
雇用保険が別なのは、労働者一人ひとりの被保険者資格の話だから、雇っている会社ごとに管理しないと成り立たないからでは?
つむぎさん、そのとおり。
なお元請と下請が共同で申請し厚生労働大臣の認可を受ければ、下請負人を事業主とする分離も可能よ。
次に有期事業の一括。
事業主が同じで、規模が小さく、事業の種類が同じ有期事業を、まとめて一つの事業として扱います。
対象は建設の事業と立木の伐採の事業。
小さな工事を年に何十件も請け負う工務店を想定しているのですね。
1件ごとに保険関係を成立させるのは非現実的だと。
そう。
規模の要件は、概算保険料の額と請負金額(立木の伐採は素材の見込生産量)が政令で定める基準未満であること。
金額基準は改正されうるから、考え方を押さえて。
そして手続は自動。
要件を満たせば法律上当然に一括され、こちらも労災保険のみが対象よ。
じゃあ、残る一つは?
継続事業の一括。
本社と各支店のように、同一の事業主が複数の継続事業を営む場合に、指定事業一つにまとめる制度です。
ここだけは厚生労働大臣の認可が必要。
申請主義よ。
よっしゃ、そこが違いだ! 請負と有期は自動、継続だけ認可!
そのまとめ方でいいわ。
継続事業の一括には、それぞれの事業が労災保険率表による事業の種類を同じくすること、保険関係の区分が同一であること、という要件もあります。
確認クイズ
労働保険徴収法における事業の一括に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 請負事業の一括は、建設の事業が数次の請負によって行われる場合に元請負人のみを事業主とするもので、労災保険に関して法律上当然に行われる。
- 継続事業の一括は、要件を満たせば法律上当然に行われ、申請は不要である。
- 有期事業の一括を受けるには、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。
- 請負事業の一括は、労災保険のほか雇用保険についても適用される。
こたえを見る
正解: 1. 請負事業の一括は、建設の事業が数次の請負によって行われる場合に元請負人のみを事業主とするもので、労災保険に関して法律上当然に行われる。
正解は選択肢1。請負事業の一括は労災保険に関するもので、要件を満たせば法律上当然に行われます。選択肢2は誤りで、継続事業の一括は厚生労働大臣の認可を要する申請主義です。選択肢3も誤りで、有期事業の一括は要件を満たせば法律上当然に行われ、認可は不要です。選択肢4も誤りで、請負事業の一括は労災保険のみに適用され、雇用保険には及びません。