労働基準法の締めくくりは就業規則です。作成義務の人数、記載事項の区別、制裁の上限という3つの数字を正確に押さえます。
89条。
常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。
変更した場合も同様よ。
10人以上! この数字、割とあちこちで出てくるね。
「常時10人以上」は企業単位ではなく事業場単位で数えるんですよね。
そのとおり。
パートやアルバイトも含めて、事業場ごとに数えるの。
記載事項には2種類あるわ。
絶対的必要記載事項と相対的必要記載事項。
ぜったい…そうたい…むむむ、難しい言葉なの。
絶対的は、必ず書かなければならない事項。
始業・終業の時刻、休憩、休日、休暇、交替制の就業時転換に関する事項。
賃金の決定・計算・支払の方法、締切り・支払の時期、昇給。
そして退職に関する事項、解雇の事由を含む。
15条の明示義務では書面交付が不要だった昇給が、89条では絶対的必要記載事項になる、という対比でしたね。
よく覚えていたわね。
そこが横断で問われるところ。
一方、相対的必要記載事項は、定めをする場合には記載しなければならない事項よ。
たとえば?
退職手当、臨時の賃金や賞与、食費・作業用品の負担、安全衛生、職業訓練、災害補償、表彰と制裁など。
退職手当は、定めるなら書く、定めないなら書かなくていいの。
退職金は…絶対じゃないんだ?
そう、退職手当は相対的。
「退職に関する事項」は絶対、「退職手当」は相対。
ここは紛らわしいから要注意よ。
作成・変更のときは、過半数組合か労働者の過半数代表者の意見を聴かなければならない、というのが90条ですね。
「意見を聴く」であって「同意を得る」ではないの。
反対意見でも、それを添付して届け出れば足りるわ。
ここも定番の引っかけ。
制裁の話も聞いたことある。
減給ってどこまでできるの?
91条の制裁規定の制限。
1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えてはならず、総額が一賃金支払期における賃金総額の10分の1を超えてはならない。
1回は平均賃金1日分の半額まで、複数回でも1賃金支払期の総額の10分の1まで、ですね。
その2つの上限が両方かかるの。
それから92条、就業規則は法令や労働協約に反してはならない。
93条は、就業規則に達しない労働条件を定める労働契約はその部分が無効になり、就業規則の基準による、という効力ね。
最後にいっぱい出てきたけど…先生、労基法おわり?
ええ、総則から就業規則まで一周したわ。
あとは寄宿舎の規定や、労働基準監督署による監督、そして違反への罰則が控えているけれど、幹はここまで。
よく頑張ったわね。
よっしゃ、労基法クリア! …次は安全衛生法だっけ?
確認クイズ
就業規則に関する記述として正しいものはどれか。
- 常時5人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成して行政官庁に届け出なければならない。
- 退職手当に関する事項は、就業規則の絶対的必要記載事項である。
- 就業規則の作成又は変更については、過半数組合又は労働者の過半数を代表する者の同意を得なければならない。
- 減給の制裁は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、かつ総額が一賃金支払期における賃金総額の10分の1を超えてはならない。
こたえを見る
正解: 4. 減給の制裁は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、かつ総額が一賃金支払期における賃金総額の10分の1を超えてはならない。
正解は選択肢4で、91条の制裁規定の制限のとおりです。選択肢1は誤りで、作成・届出義務が生じるのは常時10人以上を使用する場合です。選択肢2も誤りで、退職手当は相対的必要記載事項です(絶対的必要記載事項は『退職に関する事項』)。選択肢3も誤りで、就業規則については意見を聴けば足り、同意までは必要ありません。