15条は毎年のように問われる条文です。明示義務の対象と、書面交付が必要な範囲のズレを正確に押さえましょう。
15条1項。
使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。
これから働くとき、条件をちゃんと教えてね、ってことだよね。
そう。
そのうち厚生労働省令で定める事項は、書面の交付が義務づけられているわ。
労働者が希望すればメールなどでもよいの。
いわゆる絶対的明示事項ですね。
契約期間、有期契約を更新する場合の基準、就業の場所と従事すべき業務、始業終業の時刻や所定時間外労働の有無・休憩・休日・休暇・就業時転換、賃金の決定計算支払の方法と締切り・支払の時期、そして退職に関する事項。
ちょっと待って、長い! それ全部が書面?
ここに罠があるの。
「昇給に関する事項」は明示しなければならないけれど、書面交付までは求められていない。
…あ、それ私も指摘しようとしていました。
明示義務はあるが、書面は不要。
しかも就業規則の89条では、昇給は絶対的必要記載事項。
15条の書面交付からだけ外れている。
この非対称が狙われるのよ。
ふぇぇ〜、似てるのに違うんだ…
近年の改正で、就業の場所と業務は「変更の範囲」まで明示することになったわ。
有期契約なら更新上限の有無や内容も明示事項。
で、聞いてた条件と実際が違ったら?
15条2項。
労働者は即時に労働契約を解除できる。
予告は要らないわ。
3項の帰郷旅費もセットですね。
就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から14日以内に帰郷する場合、使用者は必要な旅費を負担する。
この「14日」は落とせない数字よ。
確認クイズ
労働条件の明示(15条)に関する記述として正しいものはどれか。
- 昇給に関する事項は、必ず書面を交付して明示しなければならない。
- 明示された労働条件が事実と相違する場合、労働者は30日前に予告したうえで労働契約を解除することができる。
- 就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から14日以内に帰郷する場合、使用者は必要な旅費を負担しなければならない。
- 労働条件の明示は、労働契約の締結後1か月以内に行えば足りる。
こたえを見る
正解: 3. 就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から14日以内に帰郷する場合、使用者は必要な旅費を負担しなければならない。
正解は選択肢3で、15条3項のとおりです。選択肢1は誤りで、昇給に関する事項は明示義務はあるものの書面交付までは求められていません。選択肢2も誤りで、労働者は「即時に」労働契約を解除できます。選択肢4も誤りで、明示は「労働契約の締結に際し」行わなければなりません。