差別禁止の規定は、労働基準法・男女雇用機会均等法・労働施策総合推進法などに分散しています。まず労基法3条・4条の射程を確定させましょう。
先生、3条の均等待遇なんですが、列挙されているのは「国籍」「信条」「社会的身分」の3つだけですね。
性別が入っていません。
そこに気づけたなら上出来。
3条に性別は入っていないの。
ここは頻出の引っかけよ。
えーっ! なんで? 性別で差別するのだってダメでしょ?
もちろんダメ。
ただ労基法は、性別による「賃金」差別だけを4条で別立てにしているの。
募集・採用や配置・昇進の性差別は男女雇用機会均等法の担当。
法律どうしで、役割分担してるんだ…
補足すると、3条が禁じるのは「賃金、労働時間その他の労働条件」についての差別的取扱いですね。
そう。
そこでもう一つ重要な論点。
判例上、3条の「労働条件」に雇入れ、つまり採用は含まれないとされているわ。
マジで!? じゃあ採用のときなら信条で断ってもいいってこと?
3条違反にはならない、という整理ね。
もちろん別の法律や公序良俗の問題にはなり得る。
試験では「3条は雇入れ後の労働条件の話」と押さえて。
4条は「女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない」。
対象は賃金のみ、なんですね。
そのとおり。
しかも「差別的取扱い」には、女性を有利に扱うことも含まれると解されているの。
わぁ、優遇でもダメなの?
条文は不利・有利を書き分けていないでしょう。
だから両方入るのよ。
確認クイズ
労働基準法3条・4条に関する記述として誤っているものはどれか。
- 3条は国籍、信条又は社会的身分を理由とする労働条件の差別的取扱いを禁止しているが、性別は列挙されていない。
- 4条は、女性であることを理由として賃金について男性と差別的取扱いをすることを禁止している。
- 3条は労働者の雇入れ(採用)にも適用され、信条を理由に採用を拒否することは3条違反となる。
- 4条の「差別的取扱い」には、女性を男性より有利に取り扱う場合も含まれる。
こたえを見る
正解: 3. 3条は労働者の雇入れ(採用)にも適用され、信条を理由に採用を拒否することは3条違反となる。
誤りは選択肢3です。判例は、3条にいう「労働条件」に雇入れ(採用)は含まれないとしています。3条が規律するのは、あくまで雇入れ後の労働条件です。選択肢1・2・4はいずれも正しい記述です。