労働安全衛生法(安衛法)は、労働基準法から分離独立した法律です。「誰が」「何のために」責任を負うのかを、最初に固めます。
今日から労働安全衛生法に入ります。
労基法の勉強で「安全及び衛生については別の法律で定める」という条文、見た覚えはあるかしら。
労働基準法第42条ですね。
「労働者の安全及び衛生については、労働安全衛生法の定めるところによる」と。
そのとおり。
昭和47年に労基法の安全衛生の章が独立して安衛法になったの。
だから今も両者は一体で運用される兄弟法よ。
へえ! じゃあ中身は労基法とだいたい同じ感じ?
そこが違うの。
労基法は「労働条件の最低基準」。
安衛法の目的は労働災害の防止 — 危害防止基準の確立、責任体制の明確化、自主的活動の促進。
しかも快適な職場環境の形成促進まで射程に入るわ。
「守らせる」だけじゃなくて「もっと良くする」ところまで入ってるんだね。
いい捉え方ね。
そしてもう一つ大きな違い。
責任を負う主体が、労基法の「使用者」ではなく事業者なの。
事業者…定義は「事業を行う者で、労働者を使用するもの」。
法人なら法人そのもの、個人事業なら事業主本人ですね。
そう。
労基法の「使用者」は部長や課長など現場の管理職も含むけれど、安衛法の事業者は経営主体そのもの。
安全衛生の責任を経営トップに引き寄せた設計ね。
「現場のせいにするな、社長が責任持て」ってことか! ハッキリしてる。
しかも責務は事業者だけじゃないの。
機械の設計者・製造者・輸入者、原材料の製造者・輸入者、建設物の建設者にも災害防止の努力義務。
工事の注文者には、安全で衛生的な作業の遂行を損なうおそれのある条件を付さない配慮義務があるわ。
作る人も、頼む人も…関わる人みんなに網がかかってるんだ。
では、労働者自身に義務はありますか。
労働者の責務もちゃんとあります。
労働災害を防止するため必要な事項を守り、事業者が実施する措置に協力するよう努める。
ここは努力義務ね。
選手だけじゃなく、コーチも用具メーカーも、全員でケガを防ぐ。
チームスポーツと同じだ。
確認クイズ
労働安全衛生法における「事業者」の説明として、正しいものはどれか。
- 労働基準法の「使用者」と同一の概念であり、部長・課長などの管理職も含まれる。
- 事業を行う者で、労働者を使用するものをいい、法人企業であれば法人そのものを指す。
- 事業場に選任された総括安全衛生管理者をいう。
- 労働者を雇い入れる契約を締結した個々の現場責任者をいう。
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正解: 2. 事業を行う者で、労働者を使用するものをいい、法人企業であれば法人そのものを指す。
事業者とは「事業を行う者で、労働者を使用するもの」をいい、法人企業なら法人そのもの、個人企業なら事業主個人を指します(選択肢2が正解)。選択肢1は誤りで、労基法の「使用者」は事業主のほか事業の経営担当者や現場の管理職も含む、より広い概念です。選択肢3・4はいずれも事業者の定義ではありません。