労働時間の算定が難しい働き方に用いる「みなし労働時間制」。3つの制度の適用場面と手続の違いを整理します。
外回りの営業や研究職のように、労働時間を正確に測りにくい仕事があるでしょう。
そこで登場するのが、みなし労働時間制よ。
みなす…実際に測らなくても、これだけ働いたことにするってこと?
そのとおり。
まず38条の2、事業場外みなし労働時間制。
労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事し、労働時間を算定し難いときは、原則として所定労働時間労働したものとみなすの。
その業務を遂行するには通常所定労働時間を超えて労働することが必要な場合は、通常必要とされる時間労働したものとみなす、でしたね。
そう。
そして通常必要とされる時間について労使協定を結んだときは、その協定で定めた時間になるわ。
スマホで指示を受けながら外で働いてても、みなしになるの?
鋭い質問。
使用者の具体的な指揮監督が及んでいて労働時間を算定できる場合は、みなしにはならないの。
「算定し難い」ことが要件だからね。
次が裁量労働制ですね。
専門業務型と企画業務型の2つ。
38条の3が専門業務型裁量労働制。
研究開発、情報処理システムの設計、記事の取材編集、デザイナー、弁護士、公認会計士など、省令等で定める業務に限られるわ。
導入は労使協定+届出。
企業の企画部門は入らないの?
それが38条の4の企画業務型裁量労働制。
事業運営の企画・立案・調査・分析の業務が対象。
ここが決定的に違うのだけど、導入手続が労使協定ではないの。
労使委員会の5分の4以上の多数による決議、ですね。
そう。
労使委員会を設置して、委員の5分の4以上の多数で決議し、行政官庁に届け出る。
専門業務型の「労使協定」との差が最頻出よ。
本人の同意も要るんだっけ…?
企画業務型は労働者本人の同意が必要で、同意しなかったことを理由とする不利益取扱いも禁止。
専門業務型も、改正で本人同意と同意撤回の手続が要件に加わったわ。
よっしゃ、専門業務型は協定、企画業務型は委員会の5分の4! これで区別できる。
確認クイズ
裁量労働制に関する記述として正しいものはどれか。
- 専門業務型裁量労働制は、労使委員会の5分の4以上の多数による決議によって導入する。
- 企画業務型裁量労働制は、事業運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務を対象とする。
- 企画業務型裁量労働制は、対象業務であれば労働者本人の同意を得ることなく適用できる。
- 事業場外みなし労働時間制は、使用者の具体的な指揮監督が及び労働時間を算定できる場合にも適用される。
こたえを見る
正解: 2. 企画業務型裁量労働制は、事業運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務を対象とする。
正解は選択肢2です。選択肢1は誤りで、労使委員会の5分の4以上の決議によるのは企画業務型であり、専門業務型は労使協定によります。選択肢3も誤りで、企画業務型は労働者本人の同意が必要です。選択肢4も誤りで、労働時間を算定できる場合は事業場外みなし労働時間制の対象になりません。