36条は労働時間規制の心臓部です。「協定=免罰効果」という考え方と、平成30年改正で法定化された上限規制をセットで押さえます。
先生、そもそも残業って、なぜ合法なんですか。
32条で週40時間・1日8時間が上限なのに。
いい疑問。
答えが36条、いわゆる36協定よ。
労使協定を締結して行政官庁に届け出れば、その範囲で時間外・休日労働をさせても罰せられなくなるの。
つまり、協定がないと残業は違法ってこと?
そのとおり。
36協定は残業命令の根拠そのものではなく、労基法違反の罰を免れる効果、いわゆる免罰効果を持つものと理解するのが正確よ。
免罰…罰を免れる。
えっと、許可証みたいなもの?
近いイメージね。
ただし青天井ではないの。
平成30年の改正で、上限が法律に書き込まれたわ。
原則は月45時間、年360時間ですね。
1年単位の変形労働時間制の場合は月42時間・年320時間。
そして臨時的な特別の事情があれば、特別条項でこれを超えることができるけれど、そこにも絶対的な上限があるの。
特別条項ってことは、いくらでも延ばせる?
いいえ。
ここが改正の核心。
特別条項でも、年720時間以内。
時間外と休日労働の合計が単月100時間未満。
複数月平均80時間以内。
そして月45時間を超えられるのは年6回まで。
数字がいっぱい出てきたの…むむむ…
覚え方はこう。
原則は45と360。
特別でも720・単月100未満・複数月平均80・回数6回。
この4つが絶対上限よ。
「100時間未満」だけ『未満』で、ほかは『以内』という言葉の違いも要注意ですね。
よく気づいたわね。
単月100時間は「未満」、80時間は「以内」。
1字が命取りになるわ。
この上限規制に違反すると罰則の対象。
36協定の有無にかかわらず超えられない一線なの。
よっしゃ、100だけ『未満』って覚える!
なお建設事業や自動車運転の業務などには、猶予・特例が設けられていましたね。
そう。
適用が段階的に進んだ分野があるから、そこは別途確認しておいて。
確認クイズ
時間外労働の上限規制に関する記述として正しいものはどれか。
- 時間外労働の限度時間は、原則として1か月60時間、1年480時間である。
- 特別条項付きの36協定を締結すれば、時間外労働と休日労働の合計を単月100時間以上とすることができる。
- 時間外労働と休日労働の合計は、複数月(2〜6か月)の平均で80時間以内としなければならない。
- 特別条項によって限度時間を超えることができる月数に、上限は設けられていない。
こたえを見る
正解: 3. 時間外労働と休日労働の合計は、複数月(2〜6か月)の平均で80時間以内としなければならない。
正解は選択肢3です。選択肢1は誤りで、原則の限度時間は月45時間・年360時間です。選択肢2も誤りで、時間外労働と休日労働の合計は単月100時間『未満』でなければならず、特別条項でもこれを超えることはできません。選択肢4も誤りで、限度時間を超えられるのは年6回までです。