25条と26条は、いずれも労働者の生活を支える規定です。要件の細かな言い回しが、そのまま正誤の分かれ目になります。
先生、急にお金が必要になったら、お給料日より前にもらえたりするの?
25条の非常時払ね。
労働者が出産、疾病、災害その他省令で定める非常の場合の費用に充てるために請求したときは、支払期日前であっても、既往の労働に対する賃金を支払わなければならない。
よっしゃ! じゃあ来月分も前借りできる?
ジャスミンさん、条文に「既往の労働に対する」と書いてあるよ。
もう働いた分だけ。
つむぎさんの言うとおり。
前借りではなく前払いなの。
まだ働いていない分は対象外よ。
非常の場合って、どんなときなの?
本人や、その収入によって生計を維持する者の出産・疾病・災害。
それに結婚、死亡、やむを得ない事由により1週間以上にわたって帰郷する場合も省令で定められているわ。
「疾病」「災害」は業務上か業務外かを問わない、というのも押さえどころですね。
そう。
次が26条、休業手当。
使用者の責に帰すべき事由による休業の場合、休業期間中、その労働者に平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。
6割か。
会社の都合で休まされたら、6割はもらえるんだね。
ここで大事なのが「使用者の責に帰すべき事由」の範囲。
民法の考え方より広く、経営上の障害も含むと解されているの。
資材が入手できない、注文が減った、といった経営上の理由でも休業手当は必要、と。
そのとおり。
一方、地震や台風のような不可抗力は含まれない。
ここが境界線よ。
半日だけ働いて、半日休んだときは…どうなるの?
いい問いね。
1日の一部を休業した場合、現実に働いた分の賃金が平均賃金の6割に満たなければ、その差額を支払う必要があるわ。
要は、その日の賃金が平均賃金の6割を切らないようにするってこと?
端的に言えばそう。
休業手当は賃金だから、24条の支払五原則も適用されるわ。
確認クイズ
休業手当(26条)に関する記述として誤っているものはどれか。
- 使用者の責に帰すべき事由による休業の場合、使用者は平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。
- 「使用者の責に帰すべき事由」には、資材の入手困難や注文の減少といった経営上の障害も含まれる。
- 地震により事業場が倒壊して操業できない場合も、使用者の責に帰すべき事由による休業として休業手当の支払いが必要である。
- 1日のうち一部を休業した場合、その日に現実に支払われる賃金が平均賃金の6割に満たないときは、その差額を支払わなければならない。
こたえを見る
正解: 3. 地震により事業場が倒壊して操業できない場合も、使用者の責に帰すべき事由による休業として休業手当の支払いが必要である。
誤りは選択肢3です。天災事変のような不可抗力による休業は「使用者の責に帰すべき事由」に当たらず、休業手当の支払義務は生じません。選択肢1・2・4は正しい記述です。