有害業務に着目した特殊健康診断と、長時間労働者への面接指導。報告義務の範囲と、月80時間・申出という要件を押さえます。
前回の一般健康診断に対して、今日は有害業務に焦点を当てた健診と、長時間労働への対応よ。
特殊健康診断ですね。
対象業務はどう決まりますか。
政令で定める有害な業務 — 高圧室内業務・潜水業務、放射線業務、特定化学物質を扱う業務、石綿等を扱う業務、鉛業務、有機溶剤業務などね。
これらに従事する労働者には、配置替えの際および原則として6か月以内ごとに1回、特別の項目についての健康診断を行うの。
一般健診の特定業務従事者と同じ6か月?
頻度は同じ。
でも中身が違うわ。
一般健診は全身の健康チェック、特殊健診はその物質・その業務に固有の項目を診る。
目的が別なの。
そして健診結果報告。
特殊健康診断の結果は、事業場の規模にかかわらず所轄労働基準監督署長に報告しなければならない。
50人未満でも、ですか。
そう。
一般の定期健診が常時50人以上の事業場だけなのと対照的でしょう。
ここは狙われるわ。
賃金はどうなるの? 健診を受けてる時間って、お仕事の時間…?
鋭いところを突くわね。
特殊健康診断は業務そのものに付随するから、その受診時間は労働時間として賃金の支払いが必要。
一方、一般健康診断の受診時間は当然に労働時間となるものではなく、労使の協議で定めるべきものとされているの。
そこで差が出るんだ! ややこしい〜。
対比で覚えて。
さて後半、面接指導よ。
長時間労働で疲労を蓄積させた労働者を、医師が直接面接して守る仕組みね。
要件を確認させてください。
原則は3つ。
時間外・休日労働時間が1か月当たり80時間を超えていること。
疲労の蓄積が認められること。
そして労働者本人の申出があること。
この3つが揃うと、事業者に実施義務が生じるわ。
本人が言わないと始まらないんだ。
原則はね。
だから事業者は、月80時間を超えた労働者に対し、速やかにその超えた時間に関する情報を通知しなければならない。
「あなたは対象ですよ」と教える義務よ。
言い出しにくい人もいそう…
だから例外がある。
研究開発業務に従事する労働者は月100時間を超えると、申出がなくても面接指導が義務。高度プロフェッショナル制度の対象者も、健康管理時間が週40時間を超えた分が月100時間を超えると、申出なしで義務になるの。
高プロは、労働時間ではなく健康管理時間で判断するのですね。
そこを押さえていれば十分。
面接指導の結果は記録を作成して5年間保存し、医師の意見を聴いて、必要なら就業場所の変更や労働時間の短縮などの措置を講じます。
確認クイズ
長時間労働者に対する面接指導に関する記述として、正しいものはどれか。
- 時間外・休日労働時間が1か月当たり45時間を超えたすべての労働者に対し、申出がなくても面接指導を行わなければならない。
- 面接指導の実施は、時間外・休日労働時間が1か月当たり80時間を超え、かつ疲労の蓄積が認められる労働者の申出があったときに義務となるのが原則である。
- 高度プロフェッショナル制度の対象労働者については、通常の労働時間により面接指導の対象を判断する。
- 面接指導の結果の記録は、作成すれば足り、保存する必要はない。
こたえを見る
正解: 2. 面接指導の実施は、時間外・休日労働時間が1か月当たり80時間を超え、かつ疲労の蓄積が認められる労働者の申出があったときに義務となるのが原則である。
原則として、時間外・休日労働が月80時間を超え、かつ疲労の蓄積が認められる労働者から申出があった場合に、事業者に面接指導の実施義務が生じます(選択肢2が正解)。選択肢1は基準が誤りです。高度プロフェッショナル制度の対象者は「健康管理時間」により判断し、月100時間超であれば申出がなくても義務となるため選択肢3は誤り。面接指導の結果の記録は5年間保存が必要なので選択肢4も誤りです。