危険防止と健康障害防止の措置は事業者の義務です。そして労働者にも、その措置に応じて必要な事項を「守る義務」があります。
問題です。
工場の機械に安全カバーが付いているのに、作業が面倒だからと労働者がそれを外して使った。
法律上、誰が責任を問われるかしら。
それは…外した本人でしょ? 会社はちゃんとカバー付けてたんだし。
待ってください。
事業者には危険防止の措置義務があるはず。
措置を講じるだけでなく、守らせる管理まで求められるのでは。
二人ともいい線ね。
答えは「どちらもあり得る」。
安衛法は事業者と労働者、両方に義務を置いているの。
まず事業者側。危険防止措置として、機械等の設備による危険、爆発性・発火性・引火性の物による危険、電気・熱その他のエネルギーによる危険を防ぐ措置。
さらに掘削・採石・荷役・伐木などの作業方法から生ずる危険、墜落するおそれのある場所や土砂等が崩壊するおそれのある場所の危険も防止しなければならない。
そして健康障害防止措置。
原材料・ガス・蒸気・粉じん・酸素欠乏空気・病原体等による健康障害、放射線・高温・低温・騒音・振動・異常気圧等による健康障害を防ぐ措置ね。
「ケガ」だけじゃなくて「病気」も防ぐんだね。
そのとおり。
加えて、通路・床面・階段の保全、換気・採光・照明・保温・防湿・休養・避難・清潔に必要な措置、作業行動から生ずる労働災害の防止も並びます。
そして急迫した危険。
労働災害発生の急迫した危険があるときは、直ちに作業を中止し、労働者を作業場から退避させなければならない。
ここは絶対に落とせないわ。
「危ないと思ったら止める」。
試合と同じだ、無理して続けない。
先生、労働者側の義務というのは。
労働者の遵守義務。
労働者は、事業者が講ずるこれらの措置に応じて、必要な事項を守らなければならない、と定められているわ。
「努める」じゃなくて「守らなければならない」…!
よく違いに気づいたわね。
3条・4条の一般的な協力は努力義務。
でもこの遵守義務は明確な義務で、罰則も定められているの。
じゃあ最初の問題、カバーを外した本人もアウトってことか。
そう。
そして事業者も、外して使わせていた実態があれば措置義務違反を問われる。
安全は片方だけでは守れないのよ。
確認クイズ
労働者の義務に関する記述として、労働安全衛生法上正しいものはどれか。
- 労働者は、事業者が講ずる危険防止等の措置に応じて必要な事項を守るよう努めなければならない(努力義務)。
- 労働者は、事業者が講ずる危険防止等の措置に応じて必要な事項を守らなければならず、違反には罰則が定められている。
- 労働者には安全衛生上の義務は課されておらず、責任はすべて事業者が負う。
- 労働者の義務は、事業場に労働組合がある場合に限り課される。
こたえを見る
正解: 2. 労働者は、事業者が講ずる危険防止等の措置に応じて必要な事項を守らなければならず、違反には罰則が定められている。
法26条は「労働者は、事業者が講ずる措置に応じて、必要な事項を守らなければならない」と定める明確な義務規定で、罰則も設けられています(選択肢2が正解)。努力義務とする選択肢1は誤りで、努力義務なのは4条の一般的な協力義務のほうです。選択肢3・4はいずれも条文にない記述で誤りです。