遺族厚生年金は、いつ終わるのか。失権と支給停止の違い、そして30歳未満の妻の5年ルールを確認します。
先生、失権と支給停止の違いを整理させてください。
似ているようで、結果が全く違いますよね。
大事な整理よ。失権は権利そのものが消えること。
二度と戻らないわ。
支給停止は権利は残ったまま、支払いだけが止まること。
事情が変われば再開されるの。
…失権は「扉が閉まる」、支給停止は「カーテンを引く」みたいな感じ?
ましろさん、その比喩は覚えやすいわね。
カーテンなら、また開けられるもの。
失権事由から見ましょう。
すべての遺族に共通するのは3つ。
死亡したとき、婚姻したとき、直系血族・直系姻族以外の者の養子となったとき。
婚姻したら終わり? …あ、再婚したら新しい家庭ができるから、ってことか。
そう、事実婚も含まれるわ。
届出をしていなくても、事実上の婚姻関係にあれば失権よ。
子や孫には年齢の失権事由もあって、18歳到達年度の末日が終わったとき、障害の状態にある場合は20歳に達したときね。
…お腹の中に赤ちゃんがいた場合は、どうなるんですか。
鋭いところを突くわね。
死亡当時に胎児だった子が生まれると、その子は最上位の遺族になるでしょう。
だから、それまで受給していた父母・孫・祖父母は失権するの。
順位が入れ替わるからよ。
うわ、生まれた瞬間に順位が変わるんだ! すごい規定…
そして最も出題頻度が高いのが、30歳未満の子のない妻。
夫の死亡当時30歳未満で子がいない妻の遺族厚生年金は、5年の有期給付になるの。
…終身ではない、ということですか。
受給権を取得した日から5年を経過したときに失権するわ。
若く扶養する子もいない妻は、就労による自立が期待できるという考え方ね。
遺族基礎年金の受給権を失った当時に30歳未満だった妻も、その日から5年で失権よ。
支給停止も確認しましょう。
配偶者が受給権を持つ間は子の分が支給停止。
夫・父母・祖父母は60歳に達するまで支給停止。
所在が1年以上明らかでないときは、同順位者や先順位者の申請によって支給停止されるわ。
労働基準法の遺族補償が行われるときは、6年間支給停止でしたね。
そう、そこも押さえておいて。
6年という数字は他に出てこないから、印象に残りやすいはずよ。
確認クイズ
遺族厚生年金の失権・支給停止に関する記述として、正しいものはどれか。
- 夫の死亡当時30歳未満で子のない妻の遺族厚生年金は、受給権取得日から10年を経過したときに消滅する。
- 夫の死亡当時30歳未満で子のない妻の遺族厚生年金は、受給権取得日から5年を経過したときに消滅する。
- 遺族厚生年金の受給権者が婚姻しても、届出をしていない事実上の婚姻関係であれば失権しない。
- 夫が遺族厚生年金の受給権を取得した場合、55歳に達するまでその支給が停止される。
こたえを見る
正解: 2. 夫の死亡当時30歳未満で子のない妻の遺族厚生年金は、受給権取得日から5年を経過したときに消滅する。
正解は選択肢2。夫の死亡当時30歳未満で子のない妻の遺族厚生年金は、受給権を取得した日から5年を経過したときに消滅する有期給付です。選択肢1は期間を10年としている点が誤りです。選択肢3も誤りで、失権事由の「婚姻」には事実上の婚姻関係も含まれます。選択肢4も誤りで、夫は死亡当時55歳以上であることが受給の要件であり、支給が停止されるのは60歳に達するまでです。