遺族厚生年金には短期要件と長期要件があります。どちらに当たるかで、必要な期間も計算方法も変わります。
遺族厚生年金は要件が2つの系統に分かれるの。短期要件は「現役に近い人が亡くなった」ケース。
被保険者が死亡したとき。
被保険者だった人が、被保険者期間中に初診日のある傷病で、初診日から5年以内に死亡したとき。
そして1級・2級の障害厚生年金の受給権者が死亡したとき。
長期要件は、老後の人が亡くなったケースですね。
そう。
老齢厚生年金の受給権者、または受給資格期間を満たしている人が死亡したとき。
ただし、ここには落とし穴があるの。
長期要件でいう受給資格期間は、25年なの。
10年ではないわ。
えっ、老齢基礎年金は10年に短縮されたのに!?
短縮されたのは老齢の受給資格期間で、遺族の長期要件は25年のまま据え置かれているの。
本当によく狙われるから、赤線を引いておいて。
計算方法も違うわよ。
短期要件には保険料納付要件が課され、被保険者期間が300月未満なら300月みなしで計算する。
長期要件には納付要件も300月みなしもなく、実際の被保険者期間で計算するの。
ただし短期要件でも、1級・2級の障害厚生年金の受給権者が死亡した場合には納付要件は問われませんね。
すでに障害年金の審査を通っているからだと理解しています。
その理解で正しいわ。
二度審査する必要がないのよ。
…そもそも、どんな家族がもらえるんですか? だれでも、なのかなぁ。
遺族の範囲は決まっているわ。
配偶者と子、父母、孫、祖父母。
この順位で、上の順位の人がいれば下の順位の人には支給されないの。
配偶者と子は同順位だけれど、配偶者が受給権を持つ間、子は支給停止になるわ。
年齢の要件はどうなりますか。
妻には年齢要件がないの。
一方で夫・父母・祖父母は、死亡当時55歳以上であることが必要で、しかも支給されるのは60歳からよ。
子と孫は18歳到達年度の末日まで、または20歳未満で1級・2級の障害の状態にあり、現に婚姻していないこと。
55歳以上なのに60歳からしかもらえないの? なんか損した気分…
「55歳で権利を得て、60歳から実際に受け取る」という2段構え。
これも定番の出題ポイントよ。
確認クイズ
遺族厚生年金の支給要件および遺族の範囲に関する記述として、正しいものはどれか。
- 長期要件による遺族厚生年金は、死亡した者が保険料納付済期間等を合わせて10年以上有していれば支給される。
- 長期要件に該当する場合、被保険者期間が300月に満たないときは300月とみなして年金額を計算する。
- 遺族厚生年金を受けることができる遺族の順位は、配偶者・子、父母、孫、祖父母の順である。
- 夫が遺族厚生年金を受けるには、死亡当時60歳以上であることが必要である。
こたえを見る
正解: 3. 遺族厚生年金を受けることができる遺族の順位は、配偶者・子、父母、孫、祖父母の順である。
正解は選択肢3。遺族の順位は「配偶者・子 → 父母 → 孫 → 祖父母」です。選択肢1は誤りで、長期要件でいう受給資格期間は25年であり、老齢基礎年金の10年とは異なります。選択肢2も誤りで、300月みなしが適用されるのは短期要件の場合であり、長期要件では実際の被保険者期間で計算します。選択肢4も誤りで、夫は死亡当時55歳以上であることが要件であり、実際の支給は60歳からとなります。