傷病手当金は他の給付と重ならないよう調整されます。「支給しない、ただし差額は支給する」という共通パターンを掴みます。
先生、傷病手当金を受けながら、会社から給料の一部が出ている場合はどうなりますか。
いい質問。
そこが調整の世界ね。
原則は、報酬を受けることができる場合、傷病手当金は支給しない。
えっ、じゃあ給料が1円でも出たら、傷病手当金ゼロになっちゃうの!? 損じゃん?
そうならないの。
条文には続きがあってね。
報酬の額が傷病手当金の額より少ないときは、その差額が支給されるわ。
この「原則不支給、ただし差額支給」という型が、他の調整でも繰り返されるという理解で合っていますか。
その理解で合っている。
そこに気づけば、調整の項目は一気に整理できるわ。
順に見ましょう。出産手当金が支給される期間は、傷病手当金は支給されない。
出産手当金が優先されるの。
ただし傷病手当金の額が出産手当金の額を超えるときは、その差額が支給される。
ここも同じ型ね。
障害年金との関係はどうでしょうか。
同一の傷病について障害厚生年金を受けられるときは、傷病手当金は支給されない。
ただし障害厚生年金の額——同一の事由による障害基礎年金があればその合算額——を360で除した額が傷病手当金の日額より少ないときは、差額が支給されるわ。
また差額だ! ……ちょっと待って、なんで360で割るの?
年金は年額ですから、日額に直すためです。
1年を360日として日割りする、という約束事ですね。
そのとおり。
労災の休業補償給付にも調整があるわ。
最後に資格喪失後の継続給付。
退職しても給付が続く場合があるの。
……辞めても、もらえるの?
要件は2つ。
資格喪失の日の前日まで引き続き1年以上被保険者であったこと。
そして、資格喪失の際に傷病手当金または出産手当金の支給を受けていること。
この2つを満たせば、退職後も継続して同様の給付を受けられる。
ただし任意継続被保険者であった期間は、この1年にカウントされないから注意して。
確認クイズ
傷病手当金の調整および資格喪失後の継続給付に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- 報酬の全部または一部を受けることができる場合であっても、その報酬の額が傷病手当金の額より少ないときは、その差額が支給される。
- 出産手当金の支給を受けることができる期間は、傷病手当金は支給されないのが原則である。
- 資格喪失後の継続給付を受けるには、資格喪失の日の前日まで引き続き6か月以上被保険者であったことが必要である。
- 同一の疾病について障害厚生年金を受けることができるときは、傷病手当金は原則として支給されない。
こたえを見る
正解: 3. 資格喪失後の継続給付を受けるには、資格喪失の日の前日まで引き続き6か月以上被保険者であったことが必要である。
誤っているのは選択肢3。資格喪失後の継続給付の要件は、資格喪失の日の前日まで引き続き「1年以上」被保険者であったことである(6か月ではない)。選択肢1・2・4はいずれも正しい記述である。