3割負担でも、医療費が高額になれば負担は重くのしかかります。自己負担に天井を設ける高額療養費の考え方を学びます。
先生、3割って言っても、手術で1,000万円かかったら300万でしょ? そんなの払えないよ!
その不安に応えるのが今日の主役。
真剣に聞いてね。
ここは制度の意義そのものが問われるところよ。
高額療養費。
一部負担金等の額が著しく高額であるとき、政令の定めるところにより支給される給付ね。
つまり、1か月の自己負担に上限——天井を設けているの。
天井を超えた分は、あとから戻ってくる。
天井……! じゃあ300万も払わなくていいんだ!
先生、その上限額はいくらですか。
そこは要注意。
自己負担限度額は所得区分ごとに政令で定められていて、改定され得るの。
だから金額そのものを丸暗記するより、所得に応じて段階的に設定されているという構造を押さえて。
所得が高いほど上限も高い。
……負担能力に応じた設計、という一貫した思想ですね。
そう。
そのうえで、覚えるべき仕組みが3つあるわ。
1つ目、世帯合算。
同一世帯の複数人の自己負担や、複数の医療機関の自己負担を合算して限度額を判定できる。
2つ目、多数回該当。
直近12か月の間に既に3回高額療養費の支給を受けていれば、4回目からは限度額がさらに引き下げられる。
3つ目、特定疾病の特例。
人工透析を要する慢性腎不全や血友病などは、自己負担限度額が特に低く設定されているの。
4回目から安くなるんだ! ……長く病気してる人ほど助かるってことね。
……ずっと治療が続く人のこと、ちゃんと考えてある制度なんだね。
先生、介護保険のほうの負担が重い場合はどうなりますか。
医療と介護が両方かかる家庭もあります。
だから高額介護合算療養費があるの。
医療保険と介護保険の1年間の自己負担を合算して、著しく高額になったときに支給される。
計算期間は8月1日から翌年7月31日までの1年間。
この期間の切り方も問われるから、押さえておいて。
確認クイズ
高額療養費に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 高額療養費の自己負担限度額は、被保険者の所得にかかわらず一律である。
- 多数回該当により自己負担限度額が引き下げられるのは、直近12か月間に3回以上高額療養費の支給を受けた場合の4回目からである。
- 高額療養費において、同一世帯の他の者の自己負担額を合算することはできない。
- 高額介護合算療養費の計算期間は、毎年4月1日から翌年3月31日までである。
こたえを見る
正解: 2. 多数回該当により自己負担限度額が引き下げられるのは、直近12か月間に3回以上高額療養費の支給を受けた場合の4回目からである。
正しいのは選択肢2。直近12か月に3回支給を受けていれば4回目から限度額が引き下げられる(多数回該当)。選択肢1は誤りで、限度額は所得区分に応じて段階的に定められている。選択肢3は誤りで、世帯合算の仕組みがある。選択肢4も誤りで、高額介護合算療養費の計算期間は8月1日から翌年7月31日までである。