現物給付が届かない場面を埋める3つの給付。似た名前に惑わされず、それぞれの支給要件と裁量の有無を区別します。
先生……旅行先で急に具合が悪くなって、保険証を持ってなかったら、どうなるの?
そこで働くのが療養費よ。
いったん全額を自分で払って、あとから保険者に請求して払い戻しを受ける。償還払いね。
先生、条文上の要件を確認したいのですが。
誰でも請求すれば必ず出るのですか。
そこが重要なポイント。
条文は「保険者が療養の給付を行うことが困難であると認めるとき」、または「やむを得ないと認めるとき」に支給することができる、と書いているの。
……「することができる」。
つまり保険者の裁量である、と。
請求権として当然に発生するわけではない。
そのとおり。
療養費は保険者の裁量的判断が入る給付。
ここが択一で狙われるところよ。
うぅ……「できる」と「する」で意味が変わるの、地味に難しい。
ジャスミンちゃん、「できる」は、やってもやらなくてもいい、ってことだよ。
次に訪問看護療養費。
指定訪問看護事業者から訪問看護を受けたときの給付ね。
ポイントは、主治医の指示が必要なこと。
そして、これは現物給付として扱われるということ。
療養費とは性格が違うわ。
名前は「療養費」で終わるのに、現物給付。
……紛らわしいですね。
先生、あと救急車って保険から出るの?
救急車そのものは無料の消防サービスだから健康保険の話ではないわ。
でも移送費という給付はあるの。
療養の給付を受けるために病院へ移送されたとき、保険者が必要と認める場合に支給される。
額は、最も経済的な通常の経路・方法で移送された場合の費用により算定するの。
……一番安い行き方を基準にする、ってこと?
そう。
ヘリで運びたかったから実費全額、とはならない。
要件も厳しくて、移動が著しく困難であること、緊急その他やむを得ないこと、療養が保険診療として適切であることが必要よ。
確認クイズ
療養費・訪問看護療養費・移送費に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 療養費は、被保険者から請求があれば保険者は必ず支給しなければならない。
- 訪問看護療養費は、償還払いによる現金給付である。
- 移送費の額は、最も経済的な通常の経路および方法により移送された場合の費用により算定される。
- 移送費は、被保険者が希望する移送方法であれば、その実費全額が支給される。
こたえを見る
正解: 3. 移送費の額は、最も経済的な通常の経路および方法により移送された場合の費用により算定される。
正しいのは選択肢3。移送費は最も経済的な通常の経路・方法による費用を基準に算定される。選択肢1は誤りで、療養費は保険者が困難・やむを得ないと認めるときに支給「することができる」給付であり、保険者の裁量が働く。選択肢2は誤りで、訪問看護療養費は現物給付として扱われる。選択肢4も誤りで、希望した方法の実費全額が出るわけではない。