個別の法律に入る前に、社会保障の地図を描きます。5つの社会保険と、日本の社会保険がたどってきた歴史の骨組みを押さえます。
社会保険一般に入るわ。
まず地図を頭に描きましょう。
社会保障って、大きく4つの柱があるの。
社会保険、社会福祉、公的扶助、そして公衆衛生、ですね。
その通り。
公的扶助が生活保護、社会福祉が高齢者・障害者・児童への支援、公衆衛生が保健所などの活動。
そして私たちが学ぶ社会保険が、その中核ね。
社会保険って、健康保険と年金でしょ?
もう少しあるわ。
医療保険、年金保険、そして雇用保険・労災保険——この労働保険、さらに介護保険。
合わせて『5つの社会保険』と呼ばれるの。
…みんなでお金を出し合って、困った人を支えるってこと?
ましろさん、それが社会保険の本質よ。
あらかじめ保険料を出し合って、病気・老齢・失業・介護といった保険事故に備える。
困ってから助けを求める生活保護とは、そこが違うの。
公的扶助は税を財源に事後的に救済、社会保険は保険料を基礎に事前に備える、という対比ですね。
見事な整理ね。
歴史も少しだけ。
日本の社会保険は、大正時代の健康保険法から始まったの。
工場労働者を対象にした最初の医療保険よ。
けっこう昔なんだね。
国民みんなが入るようになったのは?
昭和36年——1961年ね。
この年に、すべての国民がいずれかの医療保険と年金に加入する体制が整った。
これを国民皆保険・皆年金というの。
社会保障の歴史では最重要のキーワードよ。
…全員が入る仕組みが、そこで完成したんだね。
そう。
そして平成に入って、高齢化に備えて2000年に介護保険制度がスタート。
医療・年金に続く新しい柱が加わったの。
この『皆保険皆年金は昭和36年、介護保険は2000年』という2つの節目は押さえておいて。
後期高齢者医療制度が独立したのも、比較的新しい動きですよね。
2008年ね。
高齢化で医療費が増える中、世代間の負担を明確にするために作られた。
次回以降、一つずつ中身を見ていくわ。
今日は全体の地図を持ち帰って。
確認クイズ
社会保障制度に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- いわゆる国民皆保険・皆年金の体制は、昭和36年(1961年)に実現した。
- 社会保険は、保険料ではなく租税を財源とし、生活に困窮した者を事後的に救済する制度である。
- 介護保険制度は、昭和36年の国民皆保険・皆年金の実現と同時に施行された。
- 日本で最初に制定された社会保険に関する法律は、国民健康保険法である。
こたえを見る
正解: 1. いわゆる国民皆保険・皆年金の体制は、昭和36年(1961年)に実現した。
正解は選択肢1です。国民皆保険・皆年金は昭和36年(1961年)に実現しました。選択肢2は誤りで、租税を財源に事後的に救済するのは公的扶助(生活保護)であり、社会保険は保険料を基礎にあらかじめ保険事故に備える制度です。選択肢3も誤り。介護保険制度が施行されたのは2000年で、国民皆保険・皆年金の実現とは時期が異なります。選択肢4も誤りで、日本最初の社会保険立法は大正期の健康保険法であり、国民健康保険法ではありません。