有期契約で働く人を守る2本の柱、労働契約法18条の無期転換ルールと19条の雇止め法理。数字と手続の流れを正確に押さえます。
先生、質問があります。
有期契約って、更新を繰り返せば永遠に不安定なままなんでしょうか。
いい問題提起ね。
そこに歯止めをかけたのが労働契約法18条の無期転換ルールよ。
同一の使用者との間で、2以上の有期労働契約の通算契約期間が5年を超えた労働者は、無期転換を申し込むことができるの。
5年! 要は、5年働いたら正社員になれるってこと?
そこが一番の引っかけよ、ジャスミンさん。
『5年を超えて』かつ『申し込んだら』、そして変わるのは契約期間だけ。
正社員になるわけじゃないの。
補足すると、転換後の労働条件は、別段の定めがある部分を除いて従前と同一——ですよね。
時給も仕事も変わらず、期間の定めだけが消える。
その通り。
しかも申込みがあったら使用者は承諾したものとみなされる。
断る自由はないの。
…でも、申し込んだ瞬間に無期になっちゃうの?
ましろさん、鋭いところを突いたわ。
効力が生じるのは、今の有期契約の期間が満了する日の翌日から。
申込みの日ではないの。
ここは必ず出題されるポイントよ。
通算期間のカウントにも例外がありますよね。
空白期間があるとクーリングでリセットされる、と。
そう。
直前の有期契約の期間が1年以上なら6か月以上の空白でリセット。
1年未満なら、その期間の2分の1以上の空白でリセットされるわ。
うぅ…5年目前で契約打ち切られたら、意味なくない?
だから19条の雇止め法理があるの。
反復更新されて実質的に無期契約と同視できる場合、または更新を期待する合理的な理由がある場合、労働者が更新を申し込めば、使用者が拒むには客観的合理性と社会通念上の相当性が必要になる。
なければ、従前と同一の労働条件で更新されたものとして扱われるわ。
…解雇と同じ物差しを、更新拒否にも当てはめたんだね。
ええ。
18条が『5年を超えたら無期にできる』攻めの武器なら、19条は『途中で切らせない』守りの盾。
セットで理解して。
確認クイズ
労働契約法18条の無期転換ルールに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 通算契約期間が5年を超える労働者から無期転換の申込みがあった場合、使用者はこれを承諾するかどうかを自由に判断することができる。
- 無期転換の申込みをした場合、無期労働契約は申込みをした日に成立し、直ちにその効力を生ずる。
- 同一の使用者との間で締結された2以上の有期労働契約の通算契約期間が5年を超える労働者が、現に締結している有期労働契約の期間が満了する日までに無期転換の申込みをしたときは、使用者は当該申込みを承諾したものとみなされる。
- 無期転換により成立する労働契約の労働条件は、当然に通常の正社員と同一のものとなる。
こたえを見る
正解: 3. 同一の使用者との間で締結された2以上の有期労働契約の通算契約期間が5年を超える労働者が、現に締結している有期労働契約の期間が満了する日までに無期転換の申込みをしたときは、使用者は当該申込みを承諾したものとみなされる。
正解は選択肢3です。通算5年超という要件と、現在の契約の期間満了日までに申し込むという要件を満たせば、使用者は承諾したものとみなされます。選択肢1は誤りで、承諾みなしである以上、使用者に拒否の自由はありません。選択肢2も誤り。無期労働契約が効力を生ずるのは、現に締結している有期労働契約の期間が満了する日の翌日からです。選択肢4も誤りで、転換後の労働条件は別段の定めがある部分を除き従前の有期労働契約と同一であり、無期になることと正社員になることは別物です。