賃金の下限を国が引く最低賃金法。地域別と特定の2種類、比較対象から外れる賃金、そして減額特例——金額ではなく仕組みで勝負します。
最低賃金って、毎年ニュースになるわね。
今日は金額ではなく仕組みを固めるわよ。
え、金額覚えなくていいの? やった!
金額は毎年改定されるからね。
まず種類。地域別最低賃金は、すべての都道府県で決定されて、その地域のすべての労働者に適用されるわ。
産業も雇用形態も問わない。
もう一つが特定最低賃金ですね。
特定の産業について、関係労使の申出を受けて労働委員会が調査審議し、決定される。
そう。
地域別が全員に及ぶ床、特定最低賃金がその上に乗る産業別の床。
両方適用される場合は、高いほうが適用されるわ。
地域別のほうは、どうやって金額を決めてるの?
9条2項ね。
労働者の生計費、労働者の賃金、通常の事業の賃金支払能力——この3つを考慮して定める。
しかも生計費を考慮するにあたっては、生活保護に係る施策との整合性に配慮しなければならない。
『生計費だけ』ではなく3要素、というのが引っかけになりそうですね。
そう。
次が計算のルール。
最低賃金額に達しているか比べるとき、比較対象から除かれる賃金があるの。
ちょっと待って。
残業代も入れて時給計算したら、最低賃金クリアできちゃうもんね?
ジャスミンさん、それが狙いよ。
時間外・休日・深夜の割増賃金、精皆勤手当、通勤手当、家族手当、臨時に支払われる賃金、そして賞与のように1か月を超える期間ごとに支払われる賃金——全部、比較対象から外れるわ。
…残るのは、毎月ふつうに働いてもらえる分だけ、なんだね。
その理解でいいわ。
効力も大事よ。
最低賃金額に達しない賃金を定める労働契約は、その部分だけが無効になって、最低賃金と同様の定めをしたものとみなされる。
契約全体が無効になるのではないの。
先生、能力の関係で最低賃金を払えないケースは、適用除外になるんですか。
そこは改正されたところ。
今は適用除外ではなく減額特例よ。
都道府県労働局長の許可を受けて、最低賃金額から一定の率を減額した額を適用する。
対象は、著しく労働能力の低い障害のある人、試の使用期間中の者、認定職業訓練を受ける一定の者、軽易な業務に従事する者、断続的労働に従事する者。
ゼロにするのではなく『減額』——ここが試験のポイントね。
確認クイズ
最低賃金法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 精神または身体の障害により著しく労働能力の低い者については、使用者が都道府県労働局長の許可を受けることにより、最低賃金の適用が除外される。
- 最低賃金額に達しない賃金を定める労働契約は、その全体が無効となる。
- 最低賃金額に達しているかどうかを判断するにあたり、時間外労働に対する割増賃金や通勤手当は、比較の対象となる賃金に算入しない。
- 地域別最低賃金は、労働者の生計費のみを考慮して定めなければならない。
こたえを見る
正解: 3. 最低賃金額に達しているかどうかを判断するにあたり、時間外労働に対する割増賃金や通勤手当は、比較の対象となる賃金に算入しない。
正解は選択肢3です。時間外・休日・深夜の割増賃金、精皆勤手当、通勤手当、家族手当、臨時に支払われる賃金、賞与など1か月を超える期間ごとに支払われる賃金は、最低賃金との比較対象から除かれます。選択肢1は誤り。現行法は「適用除外」ではなく「減額特例」であり、許可を受けた場合に最低賃金額から一定率を減額した額が適用されます(7条)。選択肢2も誤りで、無効となるのは最低賃金額に達しない部分のみであり、その部分は最低賃金と同様の定めをしたものとみなされます。選択肢4も誤りで、地域別最低賃金は労働者の生計費・労働者の賃金・通常の事業の賃金支払能力の3つを考慮して定めます。