賃金の統計を読み解く回。毎月勤労統計の現金給与総額と実質賃金、そして賃金構造基本統計調査の性格を、調査主体とあわせて押さえます。
前回は雇用の統計。
今日は賃金の統計よ。
主役は厚生労働省の毎月勤労統計調査。
毎月勤労統計調査は、賃金・労働時間・雇用の変動を毎月とらえる統計、という理解で合っていますか。
合っているわ。
中心的な指標が現金給与総額ね。
…現金給与総額って、お給料の全部ってこと?
ほぼそうよ。現金給与総額は、きまって支給する給与——所定内給与と所定外給与——に、賞与などの特別に支払われた給与を加えたもの。
税金や社会保険料を引く前の額、つまり額面ね。
所定外給与って、残業代のこと?
そう、いいところに気づいたわね。
所定内が基本の労働時間分、所定外が残業や休日出勤の分。
この2つを合わせたのがきまって支給する給与よ。
先生、実質賃金という言葉もよく聞きます。
名目とどう違うんでしょうか。
大事な区別ね。
金額そのものが名目賃金。
それを物価の変動で割り引いたものが実質賃金よ。
名目賃金が上がっても、それ以上に物価が上がっていれば、実質賃金は下がる。
買える量で見た賃金、と考えるといいわ。
…お給料が増えても、物の値段がもっと上がったら、暮らしは楽にならないんだね。
ましろさん、まさにそれが実質賃金の考え方よ。
だから名目と実質は必ずセットで見るの。
毎月やる統計なら、細かい賃金の中身も分かるの?
そこはもう一つの統計が担うわ。賃金構造基本統計調査。
これは毎年、賃金の実態を雇用形態・職種・性・年齢・勤続年数・学歴といった属性別に細かく明らかにする調査なの。
毎月勤労統計が『時間の変化』を追うのに対して、賃金構造基本統計は『賃金の構造』を切り分けるのね。
毎月勤労統計は変動、賃金構造基本統計は構造。
どちらも厚生労働省ですね。
その整理でばっちりよ。
ここでも、具体的な金額や上昇率を暗記する必要はないの。
何を測る統計なのか、調査主体はどこか——それを正確に押さえて。
確認クイズ
賃金に関する統計についての次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 毎月勤労統計調査における現金給与総額とは、きまって支給する給与から所得税や社会保険料を控除した後の額をいう。
- 実質賃金とは、名目賃金を物価の変動を考慮して調整したものであり、物価上昇率が名目賃金の上昇率を上回れば実質賃金は低下する。
- 賃金構造基本統計調査は、賃金や労働時間の毎月の変動を把握するために毎月実施される。
- 毎月勤労統計調査は、総務省統計局が実施している。
こたえを見る
正解: 2. 実質賃金とは、名目賃金を物価の変動を考慮して調整したものであり、物価上昇率が名目賃金の上昇率を上回れば実質賃金は低下する。
正解は選択肢2です。実質賃金は名目賃金を物価変動で調整したもので、物価上昇が名目賃金の上昇を上回れば低下します。選択肢1は誤りで、現金給与総額は税や社会保険料を控除する前の額面(きまって支給する給与に特別に支払われた給与を加えたもの)です。選択肢3も誤り。賃金の毎月の変動を把握するのは毎月勤労統計調査で、賃金構造基本統計調査は毎年、属性別の賃金構造を明らかにする調査です。選択肢4も誤りで、毎月勤労統計調査は厚生労働省が実施しています。