雇用保険法の締めくくり。二事業と国庫負担、そして不正受給・未支給・時効・不服申立てという共通ルールを一気に片づけます。
最終回は「給付の外側」。
まず雇用保険二事業――雇用安定事業(雇用調整助成金が代表)と能力開発事業ね。
ここが最重要。
二事業の費用は事業主のみが負担し、労働者は1円も負担しない。
しかも二事業には国庫負担がない。
この2点セットが頻出よ。
…雇用を守るのは会社の役目だから…かな。
労働者に払わせるのは、ちょっと変だもんね。
ましろさん、そのとおり。
事業主の共同事業という性格なの。
次に国庫負担。
求職者給付――ただし高年齢求職者給付金は除く――と介護休業給付・育児休業給付にはあるけれど、就職促進給付・教育訓練給付・高年齢雇用継続給付・二事業にはないの。
「ない側」の4つを覚えるほうが早いわね。
うぅ…就職促進・教育訓練・高年齢雇用継続・二事業…唱えて覚える!
負担割合は本則と暫定措置で異なるから、割合の丸暗記より「ある・なし」の区別を優先して。
では不正受給。
偽りその他不正の行為で給付を受けたら、どうなると思う?
返す! それは当然でしょ!
返還命令ね。
でもそれだけじゃないの。
政府はさらに、不正受給額の2倍以下の額の納付を命ずることができる。
返還分と合わせて最大3倍――俗に「3倍返し」よ。
しかも虚偽の証明をした事業主等は、不正受給者と連帯して責めを負うの。
受給資格者が亡くなって、まだ支給されていない給付が残っていた場合はどうなりますか。
未支給の給付ね。配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹で、死亡当時生計を同じくしていた者が自己の名で請求できる。
順位もこの並びで、労災保険の未支給給付と同じよ。
時効はすべて2年――給付・返還・納付命令の権利すべて、雇用保険は2年で統一なの。
最後! 処分に納得いかなかったら、どうすればいいの?
不服申立てね。
まず雇用保険審査官に審査請求、不服なら労働保険審査会に再審査請求という二段階。
重要なのが審査請求前置で、処分取消しの訴えは審査官の決定を経た後でなければ提起できないの。
審査請求の日の翌日から3か月で決定がなければ、棄却とみなすことができるわ。
えへへ、地図の端まで歩けた気がするなぁ。
確認クイズ
雇用保険法の通則等に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 雇用保険二事業に要する費用は、事業主のみが負担し、国庫負担は行われない
- 不正受給者に対しては、支給した失業等給付の返還のほか、不正受給額の2倍以下の額の納付を命ずることができる
- 失業等給付を受ける権利は、5年を経過したときは時効によって消滅する
- 失業等給付に関する処分の取消しの訴えは、雇用保険審査官の決定を経た後でなければ提起することができない
こたえを見る
正解: 3. 失業等給付を受ける権利は、5年を経過したときは時効によって消滅する
誤っているのは選択肢3。雇用保険法における時効は2年である(5年ではない)。選択肢1は正しく、二事業の費用は事業主のみの負担で国庫負担はない。選択肢2も正しく、返還命令に加えて2倍以下の納付命令が可能で、合わせて最大3倍となる。選択肢4も正しく、審査請求前置主義が採用されている。