経過的加算と老齢厚生年金の繰上げ・繰下げ

20歳前・60歳以後の期間を拾う経過的加算。繰上げは同時請求で生涯減額、繰下げは別々に選べる。違いを固めます。

編集・検証: 社労士スタディ編集部 公式情報: 全国社会保険労務士会連合会 試験センター 制作・検証方針

65歳で定額部分が老齢基礎年金に切り替わるとき、なぜか金額が減る。その穴埋めが経過的加算です。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

特別支給を受けていた人が65歳になると、定額部分が終わって老齢基礎年金に切り替わる。
ここで不思議なことが起きるの。

定額部分より、老齢基礎年金のほうが少なくなる人がいるのよ。

戸倉 ジャスミン(びっくり) 戸倉 ジャスミン

えーっ! なんで!? 65歳になったのに減るとか、意味わかんない!

深見 つむぎ(普段) 深見 つむぎ

…原因は対象期間のズレでは。
老齢基礎年金は20歳以上60歳未満の期間しか反映しませんよね。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

つむぎさん、その通りよ。
18歳で就職した人の18歳から20歳までの2年間、そして60歳を過ぎてなお働いた期間。

これらは厚生年金の定額部分には反映されるのに、老齢基礎年金には反映されないの。

雪村 ましろ(しょんぼり) 雪村 ましろ

…働いたのに、消えちゃう期間があるの…?

香月 リサ 先生(笑顔) 香月 リサ 先生

消させないための仕組みがあるわ。
それが経過的加算、別名を差額加算というの。

定額部分の額から、老齢基礎年金に反映される分を引いた差額を、65歳以降の老齢厚生年金に上乗せするのよ。

深見 つむぎ(普段) 深見 つむぎ

はみ出した分を拾う仕組みですね。
後半は受給開始時期。繰上げは、老齢厚生年金だけを繰り上げることはできましたか。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

できないわ。老齢基礎年金と同時に繰り上げなければならない。
セット強制よ。

そして1か月早めるごとに一定率が減額され、その減額は一生続くの。

雪村 ましろ(びっくり) 雪村 ましろ

一生…戻らないんですか。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

戻らないわ。
ここは真剣に覚えて。
生涯にわたる減額です。

深見 つむぎ(普段) 深見 つむぎ

逆に繰下げは、老齢基礎年金と別々にできますよね。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

そこが繰上げとの決定的な違い。
繰下げは基礎と厚生を別々に選べるし、増額率は1か月あたり0.7%、最長75歳まで待てるわ。

つまり最大で84%の増額。
ただし待っている間、加給年金額は支給されないし、増額もされない点に注意して。

戸倉 ジャスミン(普段) 戸倉 ジャスミン

うーん、早くもらうか、待つか…完全に賭けじゃん?

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

だからこそ試験では「制度の中身を正確に知っているか」だけを問うの。
得か損かの話は出ないから、要件と効果に集中しましょう。

確認クイズ

老齢厚生年金の繰上げ・繰下げに関する記述として、正しいものはどれか。

  1. 老齢厚生年金の繰上げ支給の請求は、老齢基礎年金の繰上げ支給の請求と同時に行わなければならない。
  2. 老齢厚生年金の繰下げ支給の申出は、老齢基礎年金の繰下げ支給の申出と同時に行わなければならない。
  3. 繰上げによる減額は、65歳に達した時点で解消される。
  4. 繰下げ待機中も加給年金額は支給され、繰下げにより増額される。
こたえを見る

正解: 1. 老齢厚生年金の繰上げ支給の請求は、老齢基礎年金の繰上げ支給の請求と同時に行わなければならない。

正解は選択肢1。老齢厚生年金の繰上げは、老齢基礎年金の繰上げと同時に請求しなければなりません。一方、繰下げは基礎と厚生を別々に申し出ることができるため、選択肢2は誤りです。選択肢3も誤りで、繰上げによる減額は生涯にわたって続き、65歳になっても元に戻りません。選択肢4も誤りで、繰下げの待機期間中は加給年金額が支給されず、繰下げによる増額の対象にもなりません。

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