働きながら年金を受け取ると、年金が止まることがある。その計算の骨格を、しくみから理解します。
先生! 年金もらいながら働いたら、両方まるっともらえるんですか? だとしたらお得すぎない?
そうはいかないの。
それが在職老齢年金。
給料が高いと、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止になるわ。
えーっ! 働いたら罰があるみたいでヤダ!
…ジャスミンさん、罰ではないよ。
年金は稼ぎがなくなった人の生活を支える制度だから、十分な収入がある人には調整が入る、という理屈のはず。
つむぎさんの説明が制度趣旨そのものね。
使う数字は2つ。
1つは基本月額で、老齢厚生年金の月額。
加給年金額は含めないわ。
もう1つが総報酬月額相当額。
その月の標準報酬月額に、その月以前1年間の標準賞与額の合計を12で割った額を足したものよ。
…ボーナスも、月割りにして混ぜるんですね。
賞与を無視すると不公平になるからね。
その2つの合計が支給停止調整額を超えたとき、超えた分の2分の1が支給停止されるわ。
この基準額は毎年度見直されるから、金額を丸暗記するより「超えた分の半分が止まる」という構造を頭に入れて。
半分だけ? 全部止まるんじゃないんだ!
働く意欲を削がない配慮…でも、止まるのは2階の部分だけ、なのかなぁ。
ましろさん、いいところを突いたわ。
半分は残るし、止まるのも老齢厚生年金だけ。老齢基礎年金と経過的加算は支給停止されないの。
ただし老齢厚生年金が全額停止になると、加給年金額も一緒に止まってしまう。
ここは要注意。
60歳台前半と65歳以上で、計算式は違いますか。
以前は別だったと記憶しています。
改正で統一されたわ。
今は60歳台前半も65歳以上も同じ計算式・同じ基準額。
かつての低い基準額は廃止されているの。
古い教材を使っていると誤りやすいから、意識して更新して。
ちなみに、70歳過ぎたら保険料払わないんだよね? なら年金も止まらないってこと?
残念、そこは別。
70歳以上は被保険者ではないから保険料は納めないけれど、在職老齢年金の支給停止のしくみは適用されるわ。
確認クイズ
在職老齢年金に関する記述として、正しいものはどれか。
- 基本月額には、加給年金額を含めて計算する。
- 総報酬月額相当額は、その月の標準報酬月額のみで算定し、賞与は考慮しない。
- 基本月額と総報酬月額相当額との合計額が支給停止調整額を超えるときは、その超えた額の2分の1に相当する額が支給停止される。
- 在職老齢年金による支給停止が行われると、老齢基礎年金も同じ割合で支給停止される。
こたえを見る
正解: 3. 基本月額と総報酬月額相当額との合計額が支給停止調整額を超えるときは、その超えた額の2分の1に相当する額が支給停止される。
正解は選択肢3。支給停止額は「(基本月額+総報酬月額相当額−支給停止調整額)×2分の1」で計算されます。選択肢1は誤りで、基本月額には加給年金額を含めません。選択肢2も誤りで、総報酬月額相当額はその月の標準報酬月額に、その月以前1年間の標準賞与額の合計を12で除した額を加えて算定します。選択肢4も誤りで、支給停止されるのは老齢厚生年金であり、老齢基礎年金や経過的加算は支給停止されません。