老齢厚生年金の支給要件と報酬比例部分の考え方

被保険者期間は1か月でよい。ただし10年の受給資格期間は必須。総報酬制で分かれる報酬比例部分の計算も整理します。

編集・検証: 社労士スタディ編集部 公式情報: 全国社会保険労務士会連合会 試験センター 制作・検証方針

ついに給付の話へ。老齢厚生年金は「1か月でももらえる」年金です。その理由を理解しましょう。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

今日から給付編。老齢厚生年金の支給要件は3つ。
65歳以上であること、厚生年金保険の被保険者期間を有すること、そして老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていること。

戸倉 ジャスミン(普段) 戸倉 ジャスミン

2つ目の「期間を有する」って、何年必要なの? 10年?

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

1か月よ。

戸倉 ジャスミン(びっくり) 戸倉 ジャスミン

1か月!? マジで!? そんなんでもらえるの!?

深見 つむぎ(普段) 深見 つむぎ

…ジャスミンさん、落ち着いて。
1か月分の年金額しかもらえないんだから、金額はごくわずかだよ。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

つむぎさんの言うとおり。
厚生年金は納めた分に比例するから、期間が短ければ額も小さい。
だから受給資格の敷居を低くできるの。

雪村 ましろ(普段) 雪村 ましろ

1階の基礎年金は10年ないともらえないのに、2階は1か月でいいの…?

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

でもね、ましろさん。
3つ目の要件を見て。
老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていること、とあるでしょう。

雪村 ましろ(びっくり) 雪村 ましろ

……あ! 結局、10年ないとダメってことだ!

香月 リサ 先生(笑顔) 香月 リサ 先生

そこに気づけたら合格ラインよ。
10年は必要。
ただしその10年は、厚生年金だけで埋める必要はないの。

国民年金の納付済期間も免除期間も合算対象期間も、全部足して10年あればいい。
そのうえで厚生年金が1か月でもあれば、2階が出るというわけ。

深見 つむぎ(普段) 深見 つむぎ

金額の計算はどうなりますか。報酬比例部分という言葉が出てきます。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

骨格は「平均標準報酬額×給付乗率×被保険者期間の月数」。
稼いだ額と働いた長さの掛け算ね。

ただし平成15年4月に総報酬制が導入されて、それ以前と以後で計算式が分かれるの。

戸倉 ジャスミン(あせる) 戸倉 ジャスミン

え、なんで分かれるの? めんどくさ…

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

平成15年3月以前は賞与が計算に入っていなかったの。
月給だけで見ていたから、乗率は高めに設定されていたわ。

総報酬制で賞与も含めるようになった以後は、乗率が低くなる。
だから期間を区切って別々に計算して、足し合わせるのよ。

確認クイズ

老齢厚生年金の支給要件に関する記述として、正しいものはどれか。

  1. 厚生年金保険の被保険者期間が10年以上なければ、老齢厚生年金は支給されない。
  2. 老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていれば、厚生年金保険の被保険者期間が1か月であっても65歳から老齢厚生年金が支給される。
  3. 老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていなくても、厚生年金保険の被保険者期間が1か月以上あれば老齢厚生年金が支給される。
  4. 老齢厚生年金の支給を受けるには、厚生年金保険の被保険者期間だけで10年以上を満たす必要がある。
こたえを見る

正解: 2. 老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていれば、厚生年金保険の被保険者期間が1か月であっても65歳から老齢厚生年金が支給される。

正解は選択肢2。老齢厚生年金は、老齢基礎年金の受給資格期間(10年)を満たしていることを前提に、厚生年金保険の被保険者期間が1か月以上あれば65歳から支給されます。選択肢1・4は誤りで、厚生年金の被保険者期間そのものに10年という要件はありません。10年の受給資格期間は国民年金の納付済期間・免除期間・合算対象期間を通算して判定します。選択肢3も誤りで、受給資格期間を満たしていることは必須の要件です。

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